1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体計測用回転走査型チャープレーダ方式マイクロ波CTの開発
Project/Area Number |
09558116
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮川 道夫 新潟大学, 工学部, 教授 (50239357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 靖 新潟工科大学, 工学部, 助教授 (00251786)
|
Keywords | マイクロ波 / チャープ信号 / CT / 回転走査 / イメージング / 温度変化量 |
Research Abstract |
既存のチャープレーダ方式マイクロ波CTのスキャナをパラレルピーム型から開発した回転走査型に換装し、回転走査型CTシステムを試作した。受信用アレイアンテナは21本のダイポールアンテナ素子からなり、電子走査はピンダイオードスイッチを用いて実現した。同時に、時間領域でのデータ記録と計測終了後のスペクトル解析方式を採用することにより、大幅な撮像時間短縮を実現した。 以下のような二通りの方法でCT画像に生じるボケの修正を試みた。すなわち、 1, 視野中央に置かれた直径60ミリの食塩水ファントムを測定対象とした投影データと幾何光学的に求められた投影データからランドウエーバー法により当該CT装置のボケ関数PSF(Point Spread Function)を推定し、このPSFを畳み込むことによる画質改善を試みた。 2, FD-TD法を用いチャープパルスマイクロ波が照射された場合の投影データを数値計算する新しい計算技法である"伝達関数法"を開発し、非常に細い食塩水円柱の投影データを数値計算してPSFと見なし、このPSFを畳み込むことによって画質改善を試みた。 以上の結果、1では従来の手法では不可能なほど鮮明な復元画像を得ることができた。2の方法ではきわめて細い誘電体の投影データを計算することに成功し、ボケの影響を低減することができた。 試作した回転走査型マイクロ波CTの性能評価を行った。直径220mmまでの対象物を測定できる試作スキャナは、送受信アンテナ間隔282mm、ファン角が60度、受信アンテナ素子数21でアンテナ素子間隔が14.7mmである。このスキャナにより200方向からの投影データを収集して画像再構成を行う場合、測定時間は約90秒となった。分解能的には試作したスキャナでは不十分なことが分かっていたが、よりパワーの大きなパルス照射が可能と仮定すれば、素子間隔12.2mm、素子数が41のダイポールアンテナをファン角87度の間に並べ、送受信アンテナ間隔384mmとして200方向からの投影データを取得すれば、T-R方式のプロトタイプシステムと同等な性能が実現できる見通しを得た。
|
-
[Publications] M.Miyakawa: "FD-TD based analysis of the measuring process of the CP-MCT" Proc.PIERS 1999 in Taiwan. (in press).
-
[Publications] M.Bertero: "Image deblurring in CP-MCT" Proc.PIERS 1999 in Taiwan. (in press).
-
[Publications] 伊藤 洋: "生体計測を目的としたファンビーム方式マイクロ波CT" 第38回日本エムイー学会大会論文集. (印刷中).
-
[Publications] 折笠健太郎: "チャープレーダ方式マイクロ波CTのボケ修正-FD-TD法による測定電磁界の数値解析と画像処理への応用" 1999年電子情報通信学会総合大会論文集. (印刷中).
-
[Publications] M.Miyakawa: "Recent progress in noninvasive thermometry" Japanese J.Hyperthermic Oncology. 14・4. 225-233 (1998)
-
[Publications] M.Miyakawa: "Fan beam based high speed imaging of the chirp radar-type microwave computed tomography" Proc.PIERS 98 in Nantes. 2. 841 (1998)
-
[Publications] M.Miyakawa: "Amplitude modulation based fast data acquisition of the chirp rader-type microwave computed tomography." Proc.PIERS 98 in Nantes. 2. 842 (1998)
-
[Publications] M.Bertero: "Inversion methods in chirp radar-type microwave computed tomography" Proc.PIERS 98 in Nantes. 3. 1015 (1998)
-
[Publications] 宮川道夫: "マイクロ波CT技術-あらたな生体情報の獲得を目指して-" 医学のあゆみ. 186・5. 341-344 (1998)
-
[Publications] 古谷真敏: "チャープレーダ方式マイクロ波CT撮像過程の数値解析-伝達関数法による投影データの生成-" 電子情報通信学会技術研究報告. A・P98-108. 13-18 (1998)
-
[Publications] 高林雅志: "変調散乱計測を利用したチャープレーダ方式マイクロ波CTの高速撮像" 電子情報通信学会技術研究報告. A・P98-107. 7-12 (1998)
-
[Publications] 甲斐久美子: "回転走査型マイクロ波CTの基礎研究" 電子情報通信学会技術研究報告. A・P98-106. 1-6 (1998)
-
[Publications] 折笠健太郎: "チャープレーダ方式マイクロ波CTのボケ修正-FD-TD法による測定電磁界の数値解析と画像処理への応用" 第12回日本エムイー学会秋期大会論文集. 113-116 (1998)
-
[Publications] 高林雅志: "温度変化量のイメージング-変調計測方式高速度マイクロ波CTの特徴-" 第37回日本エムイー学会大会論文集. 632 (1998)
-
[Publications] 甲斐久美子: "回転走査型チャープレーダ方式マイクロ波CTによる生体撮像の検討" 第37回日本エムイー学会大会論文集. 631 (1998)
-
[Publications] 古谷真敏: "チャープパルスを用いたマイクロ波CTにおける測定電磁界の数値解析-伝達関数法による投影データの数値計算-" 1998年電子情報通信学会総合大会論文集. 4 (1998)
-
[Publications] 宮川道夫: "医用画像における合成開口アンテナの応用-チャープパルスを利用した生体計測用のマイクロ波CT-" 日本学術振興会「生体の計測と制御」公開シンポジウム講演資料集. (1998)