1997 Fiscal Year Annual Research Report
1997年7月梅雨前線停滞に伴う西日本の豪雨災害に関する調査研究
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09600003
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
下川 悦郎 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60041670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々 恭二 京都大学, 防災研究所, 教授 (30086061)
高橋 和雄 長崎大学, 工学部, 教授 (30039680)
平野 宗夫 九州大学, 工学部, 教授 (50037850)
鈴木 敦巳 熊本大学, 工学部, 教授 (50040390)
北村 良介 鹿児島大学, 工学部, 教授 (70111979)
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Keywords | 1997年 / 土砂災害 / 豪雨 / 出水市針原川 / 深層崩壊 / 土石流 / 警戒避難 / 災害心理 |
Research Abstract |
1997年7月、西日本に停滞し活発な活動を続けた梅雨前線は、九州地方を中心に西日本の広い範囲に記録的豪雨をもたらした。この豪雨で、鹿児島県出水市の土石流災害をはじめ、各地で土砂災害、河川災害が相次いで発生した。本研究はこれらの災害の実態を把握するとともに、災害をもたらした豪雨の気象特性、災害の発端となった現象の発生機構、災害予測、警戒避難、行政の災害対応、被災住民の災害心理とストレス等について総合的に検討したものである。出水市の災害について、得られた結果を以下要約する。 (1)出水付近に豪雨をもたらした機構は、九州北部に停滞する梅雨前線に向かって流入する温暖で湿潤な南西風が、甑島の地形によって強制上昇を受け、メソβスケールの帯状降水雲をつくり、この気象状況が長時間持続したことによる。(2)災害の発端となった規模の大きな崩壊は、深層風化を受けた火山岩と豪雨に伴う地下水位の上昇が結びついて発生したものである。(3)崩壊発生直後から崩土はその低層が液状化を起こしながら高速で移動した可能性が高い。(4)流出解析によると、土石流の先端部によって押し出された水や崩壊土砂の流動に寄与した地表水の大部分はため池の水であったと考えられる。(5)土石流堆積物の堆積状態や流速係数から判断して、土石流の流動特性は砂防ダムの上流側と下流側で異なっているようである。(6)土石流の再現計算を行い、土砂の流下経路や堆積範囲が再現された。(7)防災の最前線である市町村レベルの防災体制が整っていない。一方、土石流発生に対する住民の予備知識がなかった。(9)被災住民を対象に行ったアンケート結果から、5人に1人が外傷後ストレス障害(人間の存在や生命に危機的影響を及ぼす異常な状況における正常な反応)とスクリーニングされた。
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Research Products
(28 results)
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[Publications] Takashi Okimura: "Analysis of Toppling Failure of Mountain Slope Due to Earthquake" Pro.of the Int.Symp.on Landslide Hazard Assessment. 217-224 (1997)
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[Publications] 地頭薗 隆: "1997年鹿児島県北西部地震による斜面崩壊" 砂防学会誌. 50(2). 82-86 (1997)
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[Publications] 沖村 孝: "六甲山系の豪雨に起因する土砂災害と対策" 地形. 18(3). 187-202 (1997)
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[Publications] 柏谷 健二: "六甲山系の浸食環境の変遷と池底堆積物" 地形. 18(3). 263-275 (1997)
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[Publications] 後藤 恵之輔: "1997年7月・8月によるK市地すべりの調査と得られた教訓" 気象利用研究. 9. 33-37 (1997)
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[Publications] M.HIRANO: "Estimation of Hazard Area due to Debris Flow" 1st Int.Conf.on Debris-Flow Hazards Mitigation. (1997)
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[Publications] 若松 暉: "1997年7月鹿児島県出水市針原川土石流災害" 自然災害科学. 16(2). 107-111 (1997)
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[Publications] Kenji KASHIWAYA: "Erosional environmental change due to the Kobe Earthquake inferred from pond sedimentation" Fouth International Conference on Geomorphology. 226 (1997)
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[Publications] 下川 悦郎: "鹿児島県出水市針原川土石流災害について" 砂防学会誌. 50(3). 87-88 (1997)
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[Publications] 平野 宗夫: "鹿児島県出水市針原川土石流災害" 土木学会誌. 82(9). 26-28 (1997)
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[Publications] 下川 悦郎: "鹿児島県出水市針原川の土石流災害" 第34回自然災害科学総合シンポジウム. 49-50 (1997)
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[Publications] 北村 良介: "鹿児島県出水市土石流災害速報" 第16回日本自然災害学会学術講演会. 31-32 (1997)
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[Publications] 平野 宗夫: "97年7月出水市針原川の土石流災害について" 第16回日本自然災害学会学術講演会. 101-102 (1997)
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[Publications] 橋本 晴行: "'97年7月出水市針原川で発生した土石流の流動・堆積特性について" 第16回日本自然災害学会学術講演会. 103-104 (1997)
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[Publications] 後藤 恵之輔: "1997年7月佐世保市原分町地すべり災害について" 第16回日本自然災害学会学術講演会. 19-20 (1997)
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[Publications] 後藤 恵之輔: "1997年7月長崎市北陽町崖崩れ災害調査" 第16回日本自然災害学会学術講演会. 21-22 (1997)
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[Publications] 後藤 恵之輔: "1997年7月出水市土石流源頭部崩壊の原因について" 第16回日本自然災害学会学術講演会. 105-106 (1997)
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[Publications] 新野 宏: "バンド状降水雲による大雨-1997年7月10日鹿児島県出水市の土石流に関連して-" 第16回日本自然災害学会学術講演会. 99-100 (1997)
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[Publications] 地頭薗 隆: "1997年鹿児島県北西部地震による斜面崩壊" 砂防学会誌. 50(2). 82-86 (1997)
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[Publications] 地頭薗 隆: "地震による斜面崩壊の分布" 平成9年度建設技術講演会「鹿児島県北西部地震について」,(財)鹿児島県建設技術センター. 49-59 (1997)
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[Publications] 寺本 行芳: "地震による斜面崩壊の特徴" 平成9年度建設技術講演会「鹿児島県北西部地震について」,(財)鹿児島県建設技術センター. 61-72 (1997)
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[Publications] 松本 舞恵: "地震による斜面崩壊発生とその履歴" 平成9年度建設技術講演会「鹿児島県北西部地震について」,(財)鹿児島県建設技術センター. 73-81 (1997)
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[Publications] 地頭薗 隆: "桜島における土石流河川の流出特性" 鹿児島大学農学部演習林研究報告. 25. 9-20 (1997)
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[Publications] 寺本 行芳: "姶良カルデラ周辺山地地域における浸食と土砂生産" 鹿児島大学農学部演習林研究報告. 25. 21-33 (1997)
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[Publications] 松本 舞恵: "しらす斜面における表層崩壊発生場の予測" 鹿児島大学農学部演習林研究報告. 25. 35-44 (1997)
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[Publications] 後藤 恵之輔: "サーマルカメラによる1997年7月斜面災害調査〜出水市針原地区と長崎市北陽町を対象として〜" 長崎大学工学部研究報告. 28(予定). (1997)
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[Publications] 平野 宗夫: "97年7月豪雨による鹿児島県出水市の土石流災害" 河川災害シンポジウム. (予定). (1998)
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[Publications] 後藤 恵之輔: "人工衛生データによる1997年7月出水市土石流災害の調査解析" 計算機科学研究報告. 15(予定). (1998)