1997 Fiscal Year Annual Research Report
行為の文法の成立一因果的世界における合理性と規範性
Project/Area Number |
09610009
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 俊洋 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 教授 (20090798)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 豊彦 九州大学, 文学部, 教授 (50091385)
中畑 正志 京都大学, 文学部, 助教授 (60192671)
新島 龍美 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助教授 (50172606)
小池 澄夫 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70161833)
岡部 勉 熊本大学, 文学部, 教授 (50117339)
|
Keywords | 言語 / 真理 / 価値 / アリストテレス / 自由意志 / 志向性 / 発語行為 / 発語内行為 |
Research Abstract |
森俊洋は、「理論的」と「実践的」とへの容易な二分を許さない広義の「理性」に注目し、その理性の働きに「活動(エネルゲイア)」概念を適用することによって、アリストテレスの「プラクシスとテオリア」の問題が合理性と規範性の問題に新たな理解の方向を示していることを確認した。 中畑正志は、言語と心との関係の分析を通じて規範性の成立にかかわる最も基礎的な諸概念を考察した。とりわけ、アリストテレスの言語理解が心理主義とも行動主義とも異なることを論証した。他方で、コミュニケーションと心理概念とのかかわりについて、ソクラテスの対話活動の分析から新たな展望を得た。 岡部勉は、Wiggins等が前提にしているアリストテレス的な行為論・価値論の枠組みに潜む基本的な問題点を洗い出すことによって、現代の価値論における行為の位置づけの不確かさ、ならびに、人格という概念がもつ根本的な困難を確認した。 小池澄夫は、行為と行為でないものとの境界の標定作業を通じて、「自由」が単独で存立しうるものではなく、生を構成する一定の全体的概念網の一本の糸としてしかありえないことを確かめた。 新島龍美は、アンスコムの「why?」の問い、及び、アリストテレスの実践的推論によって捉らえる行為の志向性が、W.Sellarsの言う「理由の空間」の思考と重なるものであることを確かめると共に、この「理由の空間」が「価値の空間」でもあることを示した。 菅豊彦は、「言語ゲーム」の考えに基づき、志向現象を言語現象として押さえ、その機能を分の機能を中心に検討すると共に、オースティンの言語行為論、特に、発語行為と発語内行為の関係を考察した。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 岡部 勉: "反自然主義-個体の意味(あるいは生きることの意味)について" 文学部論叢. 58. 21-44 (1998)
-
[Publications] 中畑 正志: "対話と真理-「ソクラテスのエレンコス」への覚え書II" 古代哲学研究(METHODOS). 29. 1-22 (1997)
-
[Publications] 中畑 正志: "「哲学の道」からすこし逸れて-説明の方法論へのノート-" 創文. 392. 6-9 (1997)
-
[Publications] 中畑 正志: "言語と内的なもの" 人間存在論. 4(印刷中). (1998)
-
[Publications] 菅 豊彦: "意識と言語" 人間と文化. (印刷中). (1998)
-
[Publications] 森 俊洋: "ギリシア思想" 人間と文化. (印刷中). (1998)
-
[Publications] 新島龍美: "行為" 人間と文化. (印刷中). (1998)
-
[Publications] 菅 豊彦: "心を世界に繋ぎとめる" 勁草書房, 218 (1998)