1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
大島 晃 上智大学, 文学部, 教授 (00114413)
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Keywords | 井上哲治郎 / 東洋哲学史 / 日本陽明学派之哲学 / 日本古学派之哲学 / 日本朱子学派之哲学 / 雑誌『陽明学』 / 国民道徳 / 宗教観 |
Research Abstract |
1.井上哲次郎の「東洋哲学史」研究の歩みとその学的特質を明らかにすることを目指した.大学卒業後の歩みをたどりながら、特に6年間のドイツ留学と帰国後の研究活動の中で、どのように模索されて具体的な著書論文として結実するかを検証しようと試みた. (1)ドイツ留学中の井上のあり方については、自筆日記の『懐中雑記』を資料として用いることによって、彼がこの留学を通して「東洋哲学史」を強く企図していったことを明らかにした. (2)『日本陽明学派之哲学』『日本古学派之哲学』『日本朱子学派之哲学』の三部作が、井上の「東洋哲学史」研究を結実したものであるが、その学的立場の特質を概括した.特に井上が初めに陽明学を取り上げたことについて注目して、検討を加えた. 2.井上が、『日本陽明学派之哲学』を刊行する意図に関連して、その前後に出された雑誌『陽明学』、『王学雑誌』のあり方について検討を加えた.その一端については、二松学舎大学陽明学研究所主催の陽明学講演会で、「井上哲次郎『日本陽明学派之哲学』と雑誌『陽明学』等」と題して発表した(平成9年12月3日). 3.井上の「東洋哲学史」研究に関連して、「教育勅語」の解説書として刊行された『勅語衍義』に見られる国民道徳の主張や、宗教に対する立場、その宗教観などについて考察を加えた.その一端については、上智大学キリスト教文化・東洋宗教研究所第25回連続講演会で、「明治以後の儒教-井上哲次郎の立場」と題して発表した(平成10年1月18日).
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