1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610017
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
大島 晃 上智大学, 文学部, 教授 (00114413)
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Keywords | 井上哲次郎 / 東洋哲学 / 日本陽明、学派之哲学 / 日本倫理集編 / 蟹江義丸 |
Research Abstract |
1 前年度の研究を継続して、井上哲次郎の「東洋哲学史」研究の歩みとその学的背景その学的特質を明らかにすることを目指した。 2 井上の「東洋哲学史」研究を結実した『日本陽明学派之哲学』『日本古学派之哲学』『日本朱子学派之哲学』の三部作のうち、第一作として明治33年に刊行された『日本陽明学派之哲学』についてその学的立場の特質を当時の教学的側面から(「国民的道徳心」の主張、キリスト教批判とそれに係わる論争、在野の陽明学関係雑誌との関係等々)、考察を加えた。その一端については、北海道中国哲学会例会(平成10年9月17日北海道大学)において、「井上哲次郎の「東洋哲学史」研究について」と題して口頭発表した。 3 井上がその高弟蟹江義丸と共編で明治34年に刊行した『日本倫理彙編』(全10冊)の学的性格とその意義について検証を試みた。 (1) 本『彙編』は『日本陽明学派之哲学』の刊行とほぼ同時期であり、かつ本書の構成は陽明学派・古学派・朱子学派の順に立ててさらに折衷学派・独立学派・老荘学派を付している。その点、上記三部作と深く関わり、従来から三部作の資料集的性格が指摘されている。今般、「日本倫理」の書名の意図するところをはじめ、三部作との関わりについて細かに検討を試みることとした。 (2) 井上門下の「東洋哲学」研究の検証にむけて、蟹江義丸について、その人物と学問、著作の研究に着手した。 (3) (1)(2)についてはその一端を上智大学、:学内共同研究「明治期における精神文化の発達に関する研究」の研究会(平成10年10月5日)において口頭発表した。
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