1999 Fiscal Year Annual Research Report
近世土御門家の神道思想と陰陽師支配の諸形態についての研究
Project/Area Number |
09610033
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Research Institution | Aichi-Gakuin University |
Principal Investigator |
林 淳 愛知学院大学, 文学部, 教授 (90156456)
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Keywords | 陰陽師 / 陰陽道 / 万歳師 / 渋川春海 / 民俗宗教 / 土御門家 / 暦 |
Research Abstract |
平成11年度の研究実績は、以下の通りである。 (1)平成10年度に収集した知多陰陽師史料を使って、大高村触頭と知多の万歳師との葛藤と対立の経緯を解明し、研究成果報告書掲載の「土御門家配下の知多の陰陽師と出稼ぎ万歳」を書いた。ここでは、尾張のおける土御門家配下の支配系列を推定することができた。 (2)地方陰陽師関係の史料の閲覧・収集のために、兵庫県竹野町安谷家、豊岡市県立文教府、埼玉県立図書館、鶴ヶ島市教育委員会、京都府立資料館、大阪市立図書館などを訪問し、史料・参考文献などを閲覧することができた。安谷家では、安谷家文書の閲覧、一部史料の撮影をし安谷家の由来について話を聞くことができた。安谷家文書を使い、地方触頭の社会的機能について考察し、(1)貢納料の収集という経済的機能、(2)取締役の補助的機能、(3)陰陽師間の紛争を調停する機能があることを指摘した。鶴ヶ島市教育委員会では馬橋家文書を閲覧し、幕末に御嶽講の世話役が、土御門家配下に加入し、地域における御嶽講と土御門家配下の複合的な支配のありかたを知ることができた。 (3)土御門泰福と渋川春海との関係を知るために、内閣文庫、神宮文庫の渋川の著作を閲覧し、一部複写を依頼した。これらの成果は、研究成果報告書掲載の「渋川春海年譜」の基本的なデータとして使用している。土御門と渋川との関係は、京都における天文観測、貞享暦作成、渋川の安家新道への帰依、渋川の幕府への天文密奏など複数の濃密な接点をもっていたことが確かめることができた。
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