1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 雅彦 京都大学, 文学研究科, 助教授 (50200001)
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Keywords | 情報倫理 / コンピュータ・エシックス |
Research Abstract |
平成9年度においては、備品として購入したパーソナル・コンピュータを用いてインターネットをはじめとする電子ネットワークに接続し、ネットワークにおける倫理問題に関するデータの収集を行った。収集されたデータは、各国におけるネットワーク上の倫理的トラブルの実例や、各国におけるローカルな倫理綱領や法規がおもであるが、これに加えて収集した海外の情報倫理関係の文献とあわせて、新しい情報倫理の構築に必要な資料のかなりの部分が整備されたといってよい。 本年度の研究成果のひとつは、神戸大学国際文化学部主催の国際シンポジウム「コミュニケーションを促進するものと阻害するもの」(平成9年9月)において「電子コミュニケーションと『情報倫理』として口頭発表された(報告書は神戸大学において準備中)が、これは電子コミュニケーションに特有の倫理的トラブルの本質を現代のコミュニケーション理論の見地から解明したものである。他に、電子情報通信学会の情報通信倫理研究会に参加し、工学者や法学者らとの討論も行った。また、一般むけではあるが、雑誌『The BASIC』(技術評論社)に、情報倫理に関するエッセイを10月まで連載した。 現在は、今夏発行予定の共著『所有のエチカ』(ナカニシヤ出版)に掲載予定の、電子ネットワーク時代の知の所有という問題についての論文を執筆中である。そこにおいては、従来の「著作権」という考え方の本質的な限界が、収集されたデータに基づいて指摘される。
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[Publications] 水谷 雅彦: "「亡命の哲学者たち-アルフレッド・ショッツ/アロング-ルヴィンチ往復書簡」書評" 現象学年報. 12. 191-198 (1987)
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[Publications] 水谷 雅彦: "佐藤康邦,溝口宏平編『モラル・アポリア』第3章" ナカニシヤ出版, 239(10) (1988)