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1998 Fiscal Year Annual Research Report

アリストテレース『詩学』における詩的ミーメーシスと音楽的要素

Research Project

Project/Area Number 09610055
Research InstitutionSeijo University

Principal Investigator

津上 英輔  成城大学, 文芸学部, 助教授 (80197657)

Keywordsアリストテレース / 美学 / ミーメーシス / 古代哲学
Research Abstract

平成10年度の課題は,1.アリストテレース『詩学』における「カタルシス」の意味の見極め,2.アリストテレースの踏まえていた「ムーシケー」概念の内包の確定であった.前者はおおむね達成され,後者については明確な手がかりが得られた.
まず,悲劇が「達成」すべき目的として定義づけられる「カタルシス」については,『政治学』第8巻第7章での音楽の「カタルシス」効果の論議との関係においてこれを理解するのか通説であったが,資料伝承の吟味と文脈の比較とから,両者は切り離されるべきであることが明らかになった.ここから,『詩学』の「カタルシス」が,音楽のそれと違い,全面的に感情の領域には限定されないことが,帰結する.このことは,悲劇の働きを,アリストテレースとともに,現実世界の有様の解明に見る私の基本的理解と一致する.
他方,詩的ミーメーシスと音の操作としての音楽は,プラトーン以前は言うまでもなく,アリストテレースにおいても,なお一体をなす面があると思われるが,事柄を一旦アリストテレースの外側から見定めるため,古代音楽思想の集大成とも言えるボエーティウス『音楽教程』を取り上げ,その中でのmusicaの概念を検討した.その結果,ここでのmusicaは,言語(歌詞)と一体ではなく,また宇宙や人間の構造そのものとしてあるのでもなく,あくまでも音響現象と考えられていることが,テクストの分析から明らかになった.つまりボエーティウスにおけるmusicaは,我々が「音楽」と呼ぶ概念と内包を一にする.これとの比較において見るならば,『詩学』における音楽概念は,第1,2章に出現するauletike,kitharistikeの位置づけに明らかなように,詩と未だ画然とは区別されていないことがわかる.

  • Research Products

    (3 results)

All Other

All Publications (3 results)

  • [Publications] 津上英輔: "学びのもたらす解放:アリストテレース『詩学』の「浄め」" 美学. 49・2. 1-11 (1998)

  • [Publications] TSUGAMI Eske(津上英輔): "Vincenzo Galilei and Notated Examples of Ancient Music" Aesthetics. 8. 93-102 (1998)

  • [Publications] 津上英輔: "ボエーティウス『音楽教程』におけるmusicaの概念" 美学美術史論集(成城大学大学院文学研究科発行). 12. 145-162 (1999)

URL: 

Published: 1999-12-11   Modified: 2016-04-21  

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