1997 Fiscal Year Annual Research Report
形態認識における方向自由表象の存否に関する実験的検討
Project/Area Number |
09610069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 陽太郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20197122)
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Keywords | 形態認識 / 情報タイプ理論 / 方向自由情報 / メンタル・ロ-テーション |
Research Abstract |
人間の形態認識においては、形態の方向が変化したとき、形態の見え方が変化する場合と変化しない場合がある。申請者は、こうした方向変化の影響の有無を説明するために、「情報タイプ理論」を提案した(Cognitive Psychology,1989)。その後、Cohen & Kubovy(Cognitive Psychology,1993)は、この説明と整合しないように見える現象を報告した。しかし、もし、Cohen & Kubovy の実験においては、被験者が反応の素早さを要求されたために、複数の方向において表象を形成し、提示された形態を近傍の方向にある表象と比較することによってメンタル・ロ-テーションを省略したとすれば、彼らの実験結果は、情報タイプ理論によって整合的に説明することができる。この研究においては、Cohen & Kubovy の結果に関するこの説明の妥当性を実験的に検証することによって、情報タイプ理論の妥当性を吟味することを目的とした。 企画された実験においては、被験者には、初めに、同一の形態を複数の方向で提示し、鏡映弁別の反復によってそれらの方向における表象を形成させるという学習手続きを行なう。次に、それらの中間の方向にも形態を提示して、鏡映弁別を求めるという、通常のメンタル・ロ-テーション実験の手続きに移る。 本年度は、実験用防音ブ-スとパーソナル・コンピュータ・システムを購入し、現有のAVタキスト・スコープに接続して、刺戟提示および反応時間測定のためのプログラミングを行なった。現在、予備実験を数回実施し、その結果を見ながら、実験手続きと実験プログラムの調整を行なっている。
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