1997 Fiscal Year Annual Research Report
効率分析による視覚脳内表現とオブジェクト認知の検討
Project/Area Number |
09610072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
石口 彰 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (10184508)
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Keywords | オブジェクト認知 / 理想観察者 / 効率 / ガウスノイズ / 信号検出理論 / 対称性 |
Research Abstract |
本研究では、まず、3次元空間内のオブジェクト認知課題で最適な決定を下す理想観察者ideal observerの信号検出能力d_i'を定式化する。このd_i'は、様々な視覚課題によって異なった値を持つ。具体的には、統計的ノイズを画像に加算することで理想観察者のパフォーマンスを制限し、算出する。この指標d_i'と観察者の信号検出能力d'とを比較し、効率を求める。本研究では、統計的ノイズを3欠元オブジェクト画像の様々なレベルの情報(エッジや線などの特徴、コンポネント、両眼視差など)、あるいはその組み合わせに加えることによって、3次元オブジェクト認知に有効な情報や妥当な脳内表現を推測する。この手法を用いて、3次元空間内のオブジェクト認知の総合的な特性を解明するのが、本研究の目的である。 今年度は、以下に示すように、3次元オブジェクトの持つ様々な情報に統計的なノイズを加え、これらを用いて3次元オブジェクトの識別問題を行った。 (1)複数の平板から構成される3次元オブジェクトを、ワイヤーフレームモデルで表現し、それをコンピュータディスプレイ上に平行投影し(実験1)、さらに両眼立体視条件で提示した(実験2)。学習時に提示されたパターンの3次元座標値に大小のガウスノイズをかけ、2AFCによる識別課題を行った結果、両眼立体視条件では、オブジェクトの持つ構造的側面(対称性)が識別に影響を及ぼした。 (2)運動による構造復元での効率問題を、3つの実験を通して、検討した。実験は、3次元空間内を回転運動する剛体性の3角形の大きさの識別である。3角形の各頂点の座標値にノイズがかけられた。その結果、3次元構造の復元では、2次元構造の復元ほどは効率が上がらず、かなりの情報の欠落が生じることが示された。
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