1998 Fiscal Year Annual Research Report
効率分析による視覚脳内表現とオブジェクト認知の検討
Project/Area Number |
09610072
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
石口 彰 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (10184508)
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Keywords | オブジェクト認知 / 理想的観察者 / 効率 / 信号検出理論 / 視点 / 構造復元 / 対称性 / 運動視 |
Research Abstract |
本研究では、まず、3次元空間内のオブジェクト認知課題で最適な決定を下す理想観察者ideal observerの信号検出能力di′を定式化する。このdi′は、様々な視覚課題によって異なった値を持つ。具体的には、統計的ノイズを画像に加算することで理想観察者のパフォーマンスを制限し、算出する。この指標di′と観察者の信号検出能力d′とを比較し、効率を求める。本研究では、統計的ノイズを3次元オブジェクト画像の様々なレベルの情報(エッジや線などの特徴、コンポネント、両眼視差など)、あるいはその組み合わせに加えることによって、3次元オブジェクト認知に有効な情報や妥当な脳内表現を推測する。この手法を用いて、3次元空間内のオブジェクト認知の総合的な特性を解明するのが、本研究の目的である。 本年度の研究成果は、以下の通りである。 (1) 平成9年度に引き続き、3次元オブジェクトの有する情報のうち、両眼視差情報にガウスノイズをかけ、ノイズの分散とオブジェクト識別の関係を検討し、統計的効率を算出する。この場合、3次元オブジェクトをドットで構成し、そのドットの有する両眼視差にノイズをかけ、オブジェクト識別を課題とする方法と、複数の3次元オブジェクトを用意し、それぞれの持つ両眼視差にノイズをかけ、オブジェクト間の空間関係に関する識別を課題とする方法などがとられた。 (2) 運動するオブジェクトが、他の運動ノイズ中から分離される過程を、効率分布の方法を用いて、検討した。ドットにより構成される運動オブジェクトは、ノイズとは、運動方向あるいは運動速度が異なることで、背景から分離される。これらに、ガウスノイズを混入させることで、効率分析に準拠する実験を行った。その結果、これらの効率は、かなり低いことが示された。これは、人間の視覚系において、運動情報のサンプリングが、あまり精度が高くないことを示唆するものである。
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