1997 Fiscal Year Annual Research Report
変換現状況下での自動化された知覚-運動協応の再獲得過程
Project/Area Number |
09610074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉村 浩一 金沢大学, 文学部, 助教授 (70135490)
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Keywords | 変換視研究 / 左右反転視 / 目と手の協応 / 音源定位 / リーチング行動 / 知覚-運動協応 |
Research Abstract |
1997年8月,左右反転めがね2週間着用実験を行った. これまでのめがねに比べ,左右方向の視野が110度と画期的に広いものを作成し,使用した. 視野拡大による直接的効果として,環境探索に際して頭を頻繁かつ大きく動かす必要がなくなった点が指摘できる. これには,視野の動揺が弱まるブラス効果と,頭の動きに伴う不都合な知覚-運動協応が弱まることがかえって順応を促さないというマイナス効果が認められた. 広視野を確保できたことにより,今後,視野サイズを変数とする適切視野サイズの探索が期待ができる. 被験者の内観報告として得られた,「110度のときと80度程度に縮小したときで,それほど違いを感じない」との知覚印象は示唆的である.それ以上広さくしても実質的価値のない適切視野サイズがある考えられる. 本研究で重点を置いた自動化された知覚-運動協応の再獲得過程を追うため,ビデオ運動解析装置を導入した. めがね着用期間中,3日おきに定期的に光源あるいは音源に向かって素早くリーチングする課題を課し,その様子を上部からビデオ撮影した.手元のスタート地点から手を離すと,いままで見えていた光源や音源の映像が遮蔽され,かつ動かしている手も見えない視野遮断条件と,リーチング動作のあいだ中,手も光源・音源も見えている視野情報持続条件を設定した. 60分の1秒を1フレームとする手の動きの詳細な時空間分析は、来年度に引き継ぎ行うが,この実験から得られた新たな知見は次のとおりである. 視覚刺激へのリーチングでは,右手を動かす場合には手が見えていなくても,ほぼ同じ遂行成績を示す,左手では10日頃までは右手より遅れるが,15日目には右手と同様の遂行となる. 音源定位に際しては,右手より不安定な左手条件で,音源そのものの定位が難しくなる. また,順応の大きさに見合う残効が得られた.
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