1998 Fiscal Year Annual Research Report
運動視知覚における局所情報の統合及び2次元運動情報の生成機構に関する研究
Project/Area Number |
09610077
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 芳夫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00192518)
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Keywords | 運動視 / 運動の同化 / マスキング / 2次元運動 |
Research Abstract |
本研究は、視覚的運動情報処理の低次過程で抽出される局所的情報がどのような処理を経て、拡大(縮小)・回転と言った、対象の2次元運動の知覚へとつながるのか、また統合過程の多様な刺激依存性はどのようなメカニズムによって媒介されているのかを明らかにすることを目的としている。即ち、局所情報を統合し、2次元(及び1次元)運動情報を生成する機構の解明を目指す。 研究の第2(最終)年度である平成10年度は、前年度作成の「高精度動画像提示システム」を中心とした運動視知覚実験システムを用い、まず、逆向マスキング現象を指標として2次元運動知覚の時間特性を解析した。その結果、マスキング現象が減衰する臨界SOA(Stimulus Onset Asunchomy)は、回転運動条件・拡大/縮小運動条件・並進運動条件の順に長くなることが示された。これは、局所的な運動情報から大城情報を生成する過程において、回転・拡大/縮小と言った2次元運動の方が1次元並進運動よりも早く処理されることを示唆するものである。この成果について、日本視覚学会98年度夏季大会において研究発表を行った。次に、ヒトの視覚領野における運動情報処理過程について検討するために、運動視知覚実験システム及び脳磁計測システムを用いて、運動情報による領域分割刺激に対する知覚特性及び脳磁応答特性を解析した。その結果、運動による知覚的領域分割が成立する刺激条件では、第5次及び第2/3次視覚野に有意な応答の増大が見られた。各領野の応答潜時の関係解析から、領域分割に関与するこの応答増大は、第5次視覚野から第2/3次視覚野へのフィードバック情報によるものであることが示唆された。この研究は、審査を経て国際生体磁気学会第11回大会の研究発表として採用され、同学会研究報告集に掲載予定である(現在印刷中)。
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