1997 Fiscal Year Annual Research Report
数の認知的処理における母語依存性:第2言語における母語からの干渉をめぐる実験研究
Project/Area Number |
09610091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
原田 悦子 法政大学, 社会学部, 助教授 (90217498)
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Keywords | 第二言語の獲得 / 数 / ストループ効果 / 干渉 / 母語 / バイリンガル |
Research Abstract |
数の認知的処理過程が母語に依存していることを実証するため (1)これまでの研究に引き続き,母語刺激を見て,英語/日本語で読み上げる実験を行った.この結果,提示される言語刺激が英語または日本語に限られているブロック条件でも,数字に英語で反応する条件では干渉が示された. (2)ストループ課題に類似した「高速な連続反応」を求める実験を行ったところ、数字への英語反応の場合にのみ,日本語反応のエラーが得られることが示された. (3)聴覚的に英語あるいは日本語を提示し,それを名詞か数かを判断する聴覚判断課題,あるいは視覚的に提示された言語刺激と同じかどうかを判断するマッチング課題において,日本語では顕著に現われる数字課題での反応促進が英語条件では得られなかった.すなわち,英語での課題は他の名詞と同じプロファイルを描いたのに対し,日本語では数が他の名詞とは異なる処理がなされた.これがマッチング課題が聴覚-書記言語間で行われたためであるのか,より一般性を持つ結果であるのかを明らかにするために,次年度は聴覚-絵材料間でのマッチング課題を実施する予定である. 伏せて,聴覚-視覚マッチング課題でのISI(刺激提示間時間)により大きく難易度が異なることが示されたため,そのメカニイズムについても研究を深める予定である. これらの結果を受けて,次年度は第二言語の知識表象の問題としての数の特異性という視点に加え,母語(言語表象)における数の特異性という視点からも実験的・理論的な検討を深める予定である.
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