1998 Fiscal Year Annual Research Report
視対象再認記憶と空間記憶におけるサル嗅内皮質の役割
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09610093
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
靭負 正雄 (財)東京都神経科学総合研究所, 医学心理学研究部門, 研究員 (20113491)
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Keywords | 空間記憶 / 視対象再認記憶 / 場所の遅延見本合わせ課題 / 色の遅延見本合わせ課題 / 嗅内皮質 / 嗅周皮質 / 側頭葉内側部 / サル |
Research Abstract |
1: 空間記憶と視対象再認記憶に関与する側頭葉内側部のなかで、嗅内皮質が果たす役割について検討を加えるために、嗅内皮質の持つ神経連絡(解剖学的研究)と嗅内皮質の摘除の空間記憶および視対象再認記憶に及ぼす効果を行動学的に検討することを目的とした。 2: 本年度はニホンザルの嗅内皮質摘除を行い、その空間記憶(場所の遅延見本合わせ課題)におよぼす効果を、ウィスコンシン式一般行動テスト装置(WGTA)を用いて検討した。摘除前に場所の遅延見本合わせ課題を遅延時間10秒で訓練した。学習基準達成後、これらのサルの嗅内皮質を無菌条件下で手術、摘除した。摘除後の回復期間後、場所の遅延見本合わせ課題の再学習訓練を行い、その成績を術前および非摘除統制群と比較した。さらに、再学習基準達成サルについて20秒・30秒・40秒の遅延テストを課し、その成績を統制群のそれと比較した。 3: それらの結果、1頭のサルを除き、障害は小さかった。1頭のサルについては顕著な障害が認められた。この成績のばらつきは、嗅内皮質の損傷の大きさと、嗅内皮質に加えて嗅周皮質への損傷の侵襲の有無が原因だと推測される。我々の以前の研究で、嗅周皮質の損傷によって場所の遅延見本合わせ課題に顕著な障害が見られたので、嗅周皮質への侵襲の効果が大きく影響していると考えられる。次年度は、これらのサルに対して色の遅延見本合わせ課題(視対象再認記憶課題)を検討するが、更に空間記憶課題に対する検討を、例数を増やしておこなう。
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[Publications] Yukie M. H.Abe M.Osaki,and H.Konagaya: "Effects of separate lesions of posterior parahippocampal and perirhinal cortices on delayed matching to position and to color in Japanese monkeys." Soc.Neurosci.Abstr.24. 1912 (1998)
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[Publications] 靭負正雄: "空間記憶と対象再認記憶におけるサル海馬周辺皮質の役割" 第62回日本心理学会大会論文集. 454 (1998)