1999 Fiscal Year Annual Research Report
リハビリテーションを阻害する右半球症状(無関心な態度)の検査の開発
Project/Area Number |
09610094
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
関 啓子 神戸大学, 医学部・保健学科, 助教授 (90154640)
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Keywords | 右半球症状 / 左半側空間無視 / リハビリテーション / 無関心な態度 / 検査 / 汎性注意障害 |
Research Abstract |
左半側空間無視患者はその障害に対する病識がなく,多幸的で表面的な対応をする。このため無視症状自体は軽度であっても,転倒などの事故をおこしやすく訓練への意欲不足のためにリハビリテーション効果が上がりにくいといわれる。このようないわゆる右半球症状はリハビリテーションの阻害要因であり,左半側空間無視とは独立した症状と考えられるが,これを鋭敏に反映する検査法はこれまで開発されていない。したがって臨床上,明らかな右半球症状の反映と思われても,客観的,数量的把握が困難なために漠然とした主観的印象でしか表現できず新しい検査法の開発が待たれていた。 平成9年度から右半球症状を鋭敏に検出する検査を数種類考察し開発してきた。今年度は昨年度から開発と予備実験をすすめてきた汎性注意に関する検査を本格的に実施した。検査は(1)毎秒1回の速度でパソコンのディスプレー中央に呈示した延べ240個の色のついた丸のうち72回出現する赤丸にだけ反応を求める視覚性注意課題,(2)毎秒1回の速度でMDから音声呈示した240の単音節のうち72回出現する「あ」にだけ反応を求める聴覚性注意課題,(3)らせん状のパターンが2〜5回連続する図版の模写課題,(4)検者が2〜5回繰り返す単音節の復唱を求める復唱課題,(5)検者が2〜5回机を叩いた回数を模倣するタッピング模倣課題である。 結果は右半球損傷に起因する左半側空間無視を呈する患者群では,無視の重症度とは無関係に注意障害を呈する例があり,これが右半球症状と関連することが示唆された。なお,左半球損傷患者は失語症による言語理解障害のために課題自体を理解することができずに実施できない例が多かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Seki K: "Unassociated responses to two related task demands.A negative factor for improvement of unilateral spatial neglect"Neuropsychologia. 37. 75-82 (1999)
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[Publications] Sato S: "Leftward movement in severe neglect"Neurocase. 6(in press). (2000)