1997 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期給の親子相互交渉における情動的コミュニケーションと愛着表象:世代間伝達仮説の検証
Project/Area Number |
09610095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陣 省仁 北海道大学, 教育学部, 助教授 (20171960)
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Keywords | 養育経験 / 愛着関係 / 世代間伝達 / 育児ストレス / 相互交渉 / 乳児 |
Research Abstract |
初年度の研究は、40名の乳児とその母親を研究対象としてリクルートし、乳児が10ヶ月時母親達の受けた養育経験及び現時点における育児の経験について質問紙によって調査し、児が18ヶ月時に家庭での相互交渉の観察によって母子関係を測定した。これらの資料の分析に基づいて、次の結果が得られた: a)母親自身の養育経験のタイプは現時点における育児経験、特に育児に関するストレスと関係する。 b)回想による母親の自分の親から受けた養育経験が18ヶ月時の母子相互交渉と関連する。 具体的に、母親自身の養育経験において、親の愛情・情愛的温かさや共感性をあまり感じない場合、相対的に親としての自信が無く、子に対する自発的愛情が薄く、子育てによる欲求不満をより強く感じやすい。逆に、自分の母親は愛情をもって保護的に接してくれたが、干渉は少なく自律を奨励してくれたと回想した母親は育児に関する不満や困難、ストレスは相対的に少ない。更に、自分の母親は愛情は無かったし「干渉的で統制的」であったと回想した母親は育児に関する不満、困難、ストレスが高くなりやすい。 母親の受けた養育が「情愛あり」「保護的」「共感的」と回想した母親は自分の子どもとの愛着関係は安定的であるが、「干渉的」養育を受けたと回想したことは必ずしも現時点における愛着関係にマイナスとはいえない。
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Research Products
(1 results)