1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桜井 茂男 筑波大学, 心理学系, 助教授 (50183819)
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Keywords | 完全主義 / 性格 / 養育行動 / 大学生 / 親 / 子ども |
Research Abstract |
本研究の目的は、完全主義が形成されるメカニズムを探る第一歩として、大学生を対象にどのような親の性格や養育行動が子どもの完全主義と関係しているかを検討することであった。 最初の調査では、大学生を対象に、(1)自分、母親、父親の完全主義傾向についての評定、(2)母親と父親の性格ならびに養育方法についての自由な記述、(3)自分と母親と父親の三者について、自己に向けられる完全主義、他者に向けられる完全主義、他者から完全主義であると思われていると本人が認識する完全主義の測定(FlettらによるMultidimensional Perfectionism Scaleの日本語版(大谷・桜井,1995))が行われた。(1)と(3)について検討したところ、全体的にみると自分と母親の評定の間には中程度の有意なプラスの相関が認められた。しかし、自分と父親の評定の間には有意な相関は見られなかった。このような結果から、母親の完全主義傾向が子どもの完全主義傾向に影響していることが示唆された。 そこで、つぎの調査では自分と母親の関係に絞り、大学生を対象に、(1)母親の性格、(2)母親の養育行動、(3)母親と自分の完全主義傾向(自分に向けられる完全主義を多面的にとらえる尺度(桜井・大谷,1997)ほか)が調査された。大まかな結果としては、母親の完全主義、几帳面さ、潔癖さといった性格特性は大学生自身の完全主義傾向とプラスに関係していた。さらに、母親のそういった性格に支えられた養育行動、たとえば、100点を取ることを強く望む、確かめをしっかりさせる、部屋の整頓を強いるなどは、同じように大学生自身の完全主義傾向にプラスに関係していた。
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