1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610099
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桜井 茂男 筑波大学, 心理学系, 助教授 (50183819)
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Keywords | 完全主義 / 性格 / 養育行動 / 中学生 / 親 / 子ども |
Research Abstract |
本研究の目的は、完全主義が形成されるメカニズムを探る第一歩として、中学生を対象にどのような親(ここでは母親)の性格特性や養育行動が子どもの完全主義と関係しているかを検討することであった。 最初の調査では、中学生用の完全主義傾向測定尺度が開発され、その信頼性並びに妥当性が検討された。これまでに作成された小学生用並びに大学生用の尺度項目を参考にして項目作成が行われ、妥当性を検討するための尺度とともに中学生に実施された。その結果、(1)完全への願望、(2)結果へのこだわり、(3)高すぎる目標、という3つの下位尺度からなる中学生用完全主義傾向測定尺度が構成され、信頼性および妥当性も確認された。 そこで、つぎの調査では、完全主義と関連しそうな母親の性格特性と養育行動、並びに子ども(中学生)の完全主義傾向を、中学生を対象に測定して、母親の性格特性ならびに養育行動と子どもの完全主義傾向との関係を綿密に検討した。その結果、母親の性格特性としては、(1)要領のよさ、(2)理想追求、(3)強迫性、(4)しつこさ、(5)神経質、(5)冷たさ、(7)短気、という7つの特性が見いだされた。同様に、母親の養育行動としては、(1)支配的行動、(2)完全主義的行動、(3)神経質行動、(4)おせっかい行動、(5)育児書準拠行動、という5つの養育行動が明らかにされた。これらの指標を用いた相関分析によると、母親の理想追求、強迫性、しつこさ、神経質といった性格特性は子どもの完全主義傾向とプラスの関係が強かった。また、母親の支配的行動、完全主義的行動、神経質行動といった養育行動も子どもの完全主義傾向とプラスの関係が強かった。要するに、母親が完全主義に関連した性格特性をもっていると、それらが子どもの完全主義を促すような養育行動となり、子どもの完全主義傾向を助長することが推察された。
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