1999 Fiscal Year Annual Research Report
Facilitated Communication の妥当性に関する事例研究
Project/Area Number |
09610115
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
神野 秀雄 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70024081)
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Keywords | Facilitated Communication / 身体接触 / 妥当性 / 自閉症 |
Research Abstract |
筆者は、Facilitated Communication(以下FC)の妥当性の検討を目的として事例研究を行ってきたが、FCによって表出された文章は、realではないことをこれまでに示唆してきた(神野 1999)。 筆者は、知的に重度な自閉症児の遊戯療法の自験例を通して彼らの世界および身体接触の意味について検討した(神野 2000)。事例1:典型的なFC現象を示したが、多動を特徴としたG君。事例2:反響(オーム返し)を特徴としたN君。事例3:こだわりを特徴としたS君。以上のように知的に重い自閉症の世界では、モノとの関係が主要な世界であり、対人的世界では反響に代表される受動性が特徴といえる。事例4:身体接触を中心としたプレイセラピィが展開された。その結果、身体接触には2つの段階があり、第1段階は「一体化・融合化」といえ、第2段階は鏡像段階を経過した後に現れてくる「甘え」の身体接触であった。FC現象と深くかかわっているのは第1段階の身体接触であろう。その第1段階において事例4は、セラピスト(著者)に抱かれて温水プールにつかるのである。移動する時も著者の両足に乗り、自ら歩こうとせず、玩具を取る時でもクレーン現象という形で著者に取らせ、彼はまるで自己を喪失したかのごとく著者に絶対的に身をまかせるのである。この状態はまさにFC状況と重なり、多くの自閉症はこの第1段階にとどまっているであろう。FC場面で自閉症児は、強制的にFacilitatorと一体化・融合化することを体験しており、彼らの受動性をはじめとした多くの要因が関与し、FC現象が惹起されると思われる。さらにそのメカニズムを明確化していく課題が残された。
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Research Products
(1 results)