Research Abstract |
本年度は,学校心理学的サービスの援助ニーズに対応するわが国の教育心理学,認知心理学を中心とした研究成果をまとめるとともに,前年度に調査を実施した自由記述による児童生徒,保護者,教師の援助ニーズをデータベースとして集団でも実施可能な質問紙を開発し,実施した。北海道,茨城,千葉,大阪府,徳島,香川,6都道府県の小・中・高等学校の児童生徒1038名,その保護者844名,障害児教育担当教師を含む教師210名を対象に調査を行った。これらのデータを分析した結果,児童生徒では授業内容をよく理解しないまま授業が進むことを悩みの上位に挙げ,教師も授業において補習や個人指導の時間確保が難しい現状を指摘していた。他方,保護者では授業や学力保障に対する懸念や不安を示していることがわかった。こうした結果から,2002年より学校週5日制が完全実施されるにあたり,学校現場に導入されたスクールカウンセラーの役割の一つとして,児童生徒の学習面の支援体制,例えば,児童生徒の学習カウンセリングや教師の学習指導のコンサルテーションが考えられ,そうした力量を備えたスクールカウンセラーを養成する必要性があることが示唆された。これらの結果に基づき,最終年度となる本年度は,第1章:序論,第2章:学習指導と学校心理学,第3章:学校週5日制下における学習指導の援助ニーズに関する予備的研究,第4章:児童生徒における学習指導の援助ニーズを中心とした検討,第5章:保護者における学習指導の援助ニーズを中心とした検討,第6章教師における学習指導の援助ニーズを中心とした検討,第7章:障害児担当教師における学習指導の援助ニーズを中心とした検討,第8章:全体のまとめと今後の課題,からなる報告書としてまとめた。
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