1998 Fiscal Year Annual Research Report
「甘えの心理」への認知・人格・社会心理学的視点からの総合的アプローチ
Project/Area Number |
09610129
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加藤 和生 九州大学, 大学院人間環境学研究科, 助教授 (00281759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸野 俊一 九州大学, 大学院人間環境学研究科, 教授 (30101009)
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Keywords | 甘えの心理 / 愛着 / 健常成人 / 人格 / 社会・認知心理学的視座 / 甘えの素朴概念 / 認知プロセス / 内的作業モデル / 尺度構成 |
Research Abstract |
10年度は,つぎの3つの観点からこのテーマに関して研究を行った. 1. 「甘え」と「依存」の差異に関する量的分析: 一般にほぼ同義語のように考えられがちな「甘え」と「依存」のもつ語の意味やニュアンスの違いについて,質的・量的に分析を行った.その結果,「甘え」はポジティブ・ネガティブな側面をもつものと考えられがちであるのに対して,「依存」はネガティブなもとの考えられがちであった.また望ましさ評定も類似した結果を示した. 2. 「甘える」・「甘えさせ」タイプの分析: 本研究の目的は,甘え行動・甘えさせ行動の個人差を理論的に分析し,モデルを提出すること,およびそのモデルの有効性の可能性を探索的に検証することであった.まず,4つの「甘える」人のタイプ,4つの「甘えさせる」人のタイプを理論的に想定し,想定される行動パターン・態度などを仮定した.次に,面接を通して,この4タイプモデルの妥当性の検証と探索的に行った.面接に際しては,Kato(1994/5)で提出した甘え交流の過程モデルに従い,交流前・中・後の過程で生じる認知・情動・態度などに関して1時間程度の聞き取りを行った.主な結果は,このモデルの有効性が示唆された. 3・ 甘えルールの分析: 本研究では,Kato(1994/5)の提案した「甘え行動・交流の内的作業モデル」の内実に関する理論的展開およびその実証的検証を試みた.「甘え」の内的作業モデルは甘え交流を行う際に活性化され,状況・対象・内容により自己の甘え行動を決定したり調整したりする機能をもつ知識構造であると想定されている.そこで,その内実を分析するために,甘え交流に関するルールの素朴概念の分析を行った.その際,「甘えるべきでない甘え」「甘えてもよい甘え」について状況,対象,内容,程度について自由記述を,大学生・成人に求め,その内容分析を行った.
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[Publications] Kato,K: "An Bttempt to exemine cross-cultural generality of Jaanese interdependent(amae)behaviors" 10th American Psychological Society, Poster Presentation. (1998)
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[Publications] 加藤和生: "こころの知能指数(BQ)とは:情動知能の理論" 教育と医学. 47. 238-246 (1999)
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[Publications] 加藤和生・丸野俊一: "議論を育てる要因の分析:家庭環境と愛着スタイル" 認知体験過程研究. 6. 57-69 (1997)
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[Publications] 加藤 和生: "関係の中で発達(第2章)" ミネルバ(印刷中),
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[Publications] 加藤 和生: "シリーズ心理学の中の論争[2]:発達心理学における論争(第5章)" ナカニシヤ(印刷中),