1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南 博文 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (20192362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 直樹 皇學館大学, 文学部, 講師 (20268056)
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Keywords | 原風景 / アジア地域 / 文化心理学 / 環境イメージ |
Research Abstract |
アジア地域を対象とした原風景の調査を行うことを目的とした本研究で、平成10年度には次のような研究を行った。 研究(2)日本の青年・成人における原風景の構造分析:絵地図を中心とした表出によって原風景の空間構造について内容分析を行った。特に、情動的な意味価を中心にした分析を行い、それらの相互関係をクラスター的に表現している。 研究(3)韓国の成人(11名)を対象とした深層インタビューの逐語録に基づいて、「語り」の様式に注目した構造分析を行った。その結果、風景として語る様式、行動・体験を語る様式、体験を評価する様式の3種が区別され、それぞれに応じた内容と語りのスタイルがあることが明らかになった。また、語りの「深度」という概念を用いて、各人の原風景の語りがカバーする経験の領域とその意味づけの深さの個人差を分析した。 研究(4)原風景を表す文化表象としての絵本、昔話、教科書の分析の基礎資料を、日本および韓国において収集した。 今後は、個人レベルでの原風景の構造、心理的な機能の分析からさらに発展して、共同体レベルでの原風景の表出を調べるために、グループインタビューなどの手法を用いて、地域の場所アイデンティティと原風景との関係について検討を進める計画である。また、共同体のレベルでの原風景の具体的なイメージを、絵本、昔話、教科書に出てくる典型的な風景を素材としたモンタージュなどの手法を用いて集約化する計画である。
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