1999 Fiscal Year Annual Research Report
児童期における家族との分離経験が成人後の社会的行動に及ぼす影響について -太平洋戦下の学童集団疎開経験の成人後の社会行動への影響-
Project/Area Number |
09610137
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
永田 良昭 学習院大学, 文学部, 教授 (80080373)
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Keywords | 児童期 / いじめ / 人間関係 / 孤独感 |
Research Abstract |
平成11年度は、第一に、東京都内の3小学校(当時国民学校)に対象を絞り、当該学校保存の諸記録調査および当時の在籍児童、さらにそれらの学校が集団疎開を行なった栃木県佐野市、長野県松本市・塩尻市、山梨県甲府市等の受入小学校の当時の関係者(教員、生徒)に可能な範囲で面接聞き取り調査を実施した。 その結果、1)2つの小学校の当時の在籍児童の現住所等現況について極めて不完全ではあるが名簿を作成することができ、2)家族との分離経験の具体的な内容としてどのような現象をとらえ、さらに成人後の社会的行動の指標として、現在既に60歳の半ばを越える人々を対象とすることも考慮した簡潔で容易に回答し得る質問紙法による調査として、具体的な経験内容、それに伴う感情、現在の対人関係の構成の仕方を指標とする社会行動の特質を測定する簡潔な尺度の構成が可能であろうとの予想が得られた。 これに基づき、平成12年2月から2つの小学校の当時の在籍児童約700名への郵送による所在の確認と郵送調査への協力の可否の照会を行なった。その結果、住所変更による所在不明者、物故者も少なくなく、また調査への回答に応じられないとの返信もあり、平成12年3月上旬現在で約130名からの調査応諾の返信を得た。現在、これらの人々を対象とした郵送による質問紙法による調査を実施中である。 また、さらなる調査対象の拡大を図っており、資料数の増加を可能な限り図り、平成12年度に資料の解析を行ない、結果のまとめを行なう予定である。 第二に、前年度に続き対照群として、戦時下ではない時期に児童期を過ごした人々の自伝資料の内容分析を行なった。
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