1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
大貫 敬一 共立女子大学, 文芸学部, 助教授 (40146527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牟田 隆郎 国立精神, 神経センター・精神保健研究所・成人精神保健部・診断技術研究室, 室長 (80132877)
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Keywords | ロールャッハ・テスト / 片口法 / P反応 |
Research Abstract |
我が国の片口法ロールャッハ・テスト(以下ロ・テスト)の成人基準データは、片口安史により作成されたものである。しかし、近年、日本人の人格特徴は急激に変化しつつあり、かつての基準データが現実に合わなくなってきていると考えられるため、最近のデータによる基準データの作成が急務とされる。そこで、東京都及び近県在住の成人(18才以上)を対象にロ・テストデータを収集し、被験者数N=500ケースを目標に成人基準データを作成しつつある。研究の具体的な目的としては「反応の出現頻度表」「反応領域図」「P反応リスト」を新たに作成することにある。 現在までに収集されたデータに基づいて、主として、P反応の変化を検討している。まず、第VIII図版のP反応である「花」反応に関しては、領域はD2とされていたが、W領域の「花」反応の出現頻度が高いという結果が得られた。したがって、D2領域だけでなくW領域も含めた「花」反応をP反応とすることが示唆される。なお、「花」反応がP反応であることがあらためて確認されたことは、日本人の情緒性を考える上で重要な意味を持つと考えられる。第IV図版では、Hまたは(H)と分類される「人間像」反応の出現頻度がP反応の基華に達すると予想される。包括システムでは、米国のExner(1990)や我が国の高橋・西尾(1994)がP反応としているが、片口法においてもP反応として採用される可能性が高い。これも日本人の人格特徴の変化を示す重要な特徴と考えられる。第I図版に関しては、従来の「こうもり」「蝶または蛾」反応に加えて、動物もしくは人間の「顔」反応が増加している傾向が見られる。 今後は、成人基準データを完成させるなかで上記の結果を確認していくと共に、他の図版のP反応の変化に関しても検討していく計画である。
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