1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本における集団情報の優位現象:「個人と集団」の知覚
Project/Area Number |
09610141
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
杉森 伸吉 東京家政大学, 文学部・心理教育学科, 助教授 (60266541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 忍 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (20252398)
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Keywords | 集団情報の優位現象 / 誤った関連付け / 集団認知 / 文化心理学 / 集団心 / グループ・マインド / ストループ効果 |
Research Abstract |
今年度は3年間の計画の最終年に当たる。初年度は3つ計画した研究のうち研究1の基礎資料の収集とプログラミングの一部、研究2と研究3の予備実験を行った。昨年度はそれを受けて、研究計画の洗練と、実験刺激の洗練を行った。本年は,プログラムの一層の改善と最終的な実験実施と,全体の計画を通じ、「集団を個人の寄せ集めでなく、独自の実体を持つ存在ととらえる傾向が強い日本では、個人と集団の知覚に本質的な違いがあるだろう。とくに他者の所属集団が他者認知に及ぼすウェイトは大きいだろう。」という仮設を実験的に検証するのが目的である。こうした主張が確認できれば、従来個人を認識の中心においてきた欧米の社会心理学理論を、根底から書き換えることにつながろう。 研究1(魚の集合行動を刺激に用いたストループ実験) 「人間よりも遥かに単純な魚の集合行動にさえも集団性を知覚し、集団とは違う動きをする個体に関する判断も、集合行動をする他の魚の動きにかなり干渉を受けるだろう」という仮説を調べるためのプログラムにもとづき,幾何図形,魚,人を刺激として集団情報の干渉効果を確認した。 研究2(複数の人物情報を処理する際、個々人の寄せ集めとして判断するより、集団として判断する方が、illusory correlationが生起しにくいことを検証する実験) コンピュータによる刺激提示を通じ、予備的実験をおこなった結果、仮説を支持する若干の傾向が認められた。さらに、教示の方法や刺激の提示方法などを現実場面に近づるなど工夫を凝らした。 研究3(複数の意見を見せたとき、個々人の別個の意見としてみせるよりも集団の合意事項としてみせる方が、認知的に深い処理を受け、記憶されやすくなることを検証する実験) 初年度の原子力発電に続き、携帯電話関する賛成意見と反対意見を合わせて10個ランダムな順番で提示し個々人の単独意見とするより、集団の合意の上での意見だとした方が、意見が再生されやすいこと、事前の態度の影響がないことなどの傾向を確認した。
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Research Products
(1 results)