1999 Fiscal Year Annual Research Report
離乳の発達行動学的研究:親子間におけるその主導性の分析を中心に
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09610144
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
根ヶ山 光一 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (00112003)
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Keywords | 離乳 / 桶谷式壇乳 / ラ・レーチェ・リーグ / 卒乳 / 母子 / 質問紙 / 行動観察 / 自立・依存 |
Research Abstract |
(1)本年度は,回収された「離乳様式の全国実態調査」の質問紙の入力作業を終え,そのデータの解析を中心に作業を行った.北海道から沖縄までの保健センターで実施された3歳児検診を通じて配布され,回収された回答937部のうち有効な923部について分析が行われた.その結果,北海道東北地域では母乳育児の率が相対的に低く,母乳哺育を停止する時期は遅い方がよいという回答が関西中四国地域で多かった.また北海道東北地域では離乳指導の影響がより大きい,本州中央部で離乳が遅いなど,いくつかの点で地域差が見られた.市部・郡部の別を調べてみると,群部において離乳指導の浸透度やへの肯定感がより強く,また母乳終了時期が遅く人工栄養を与える期間が短い傾向があった.専業主婦の方が,離乳は早い方がよい,子育てで視野が狭くなるなどの否定的感情が強く出ていた.さらに学歴では,低学歴層に母乳への志向性が低く,また母親としての肯定感が乏しかった.出生順位の比較では,第2子以降の母親が母乳終了が遅く,子どものために離乳するという子本位の離乳をしていた.このようにさまざまな変数において離乳の主導性が規定されていたが,子の性別は大きな要因となっていなかった. (2)これまでの桶谷式断乳の行動観察および質問紙調査,ラ・レーチェ・リーグの授乳・離乳の観察,離乳食場面の追跡行動観察の分析結果と,(1)の諸分析結果とを総合し,厚生省による離乳指導の改訂直前における離乳の実態とそこでの主導性のあり方について考察し,最終年度のまとめとして報告書を作成した.
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[Publications] K,Negayama: "Feeding as a communication between mother and infant in Japan and Scotland."Research and Clinical Center for Child Development. (in press). (2000)
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[Publications] K.Negayama: "Development of reactions to pain of inoculation in children and their mothers."International Journal of Behavioral Development. 23. 731-746 (1999)