1998 Fiscal Year Annual Research Report
MMPI新日本版の解釈仮説の実証的検討-他の心理学的測度との関係-
Project/Area Number |
09610145
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩谷 亨 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (20278097)
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Keywords | 心理査定 / MMPI / CISS / FNE / 学生集団 |
Research Abstract |
良質なデータ収集を可能にするため、MMPI新日本版を学生集団に実施する手続きの検討を行なった。その結果、適切な実施手続きを用いれば、100名を越える学生集団に対しても疑問尺度の得点が基準に合致するデータを得ることが可能であることを実証的に示した。 上記の手続きを用いて、いくつかの学生集団にMMPI新日本版、および、CISS、あるいはFNEを実施した。 CISSの他の尺度に比べ、E尺度とMMPIの基礎尺度とに多くの相関が得られた。統計的に有意な相関値が見出された組み合わせの数は実施集団によって異なっていた。しかし、第7尺度、第2尺度、および、第0尺度との間には安定し、かつ中程度の相関が存在することが認められた。これらの関係は、MMPIの該当する尺度の解釈仮説と一致すると判断できる。相関値の変動の主な原因は、対象者が正常集団であり、MMPIの得点がT得点50に集中する傾向によるものと思われる。また、CISSが3尺度より構成される心理学的測度であるため、相関研究による分析には限界があることを述べた。MMPIとCISSの関係をより詳細に吟味するには、仮説検証型の研究が必要であり、このためのデータ収集を行なった。 FNEとMMPI新日本版基礎尺度との間には、統計的に有意な相関が見出された組み合わせは実施集団によって異なっていた。しかし、K尺度と負の相関、第2、第7、および、第0尺度との間に正の相関が出現する現象は安定して認められた。これらの尺度の解釈仮説とFNEの構成概念は一致していると判断できるが、より詳細な分析のためには、CISSの場合と同様、仮説検証型の研究が必要であると思われる。
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[Publications] 塩谷亨: "学生集団へのMMPIの実施:実施手続きの具体例" MMPI研究・臨床情報交換誌. ・6. 219-237 (1998)
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[Publications] 塩谷亨: "MMPI基礎尺度とCISSの相関関係" 北陸心理学会第33回大会発表論文集. 29 (1998)
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[Publications] 塩谷亨: "MMPI基礎尺度値とFNE(Fear of Negative Evaluation Scale)との相関関係" 日本行動療法学会第24回大会発表論文集. 70-71 (1998)