Research Abstract |
平成9年度においては,大学生男女385名を対象として,ギャンブルおよびギャンブル的要素を含んだゲームとの接触状況およびギャンブルに対する認知に関するアンケート調査を行った。 接触状況および認知を調べた対象は,パチンコ,競馬,競輪,競艇,宝くじ,ナンバーズ,麻雀,ル-レット,スロットマシーン,ビデオポーカー,クレーンゲームの11種類で,そのうちの競輪と競艇を除く9種類については,それらの「勝利期待度」「興奮度」「攻略感」「健全度」「おもしろさ」からギャンブルおよび擬似ギャンブルゲームに対する認知を調べた。また、自分の力で結果をコントロールしたいという欲求の強さを測定するコントロール欲求尺度(安藤,1995)も同時に実施した。 その結果,ギャンブルおよび擬似ギャンブルゲームに対する接触頻度に関しては,女子と比較して男子の方が高い傾向にあった。しかし比較的よく接触している者であっても,その程度はいわゆる「社会的ギャンブラ-」の範囲内にとどまっており,それによってさまざまな問題行動を引き起こしているような「病理的ギャンブラ-」は,この調査ではみられなかった。また,コントロール錯覚等の認知的歪みにより,ギャンブルに嗜癖している者もみられなかった。その意味において,対象となった大学生は,全体として,ギャンブルに対して健全な現実認識をもっており,それに対する態度もレクリエーションとしての枠を踏み越えない,健全な態度を保っていることが明らかになった。 したがって今後は,ギャンブルによる問題行動を現実に示している,病理的ギャンブラ-の分析を中心に研究を展開する必要のあることが示唆された。
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