1999 Fiscal Year Annual Research Report
早産児の心理・生理的特徴とアタッチメント形成に関する研究
Project/Area Number |
09610155
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Research Institution | Tsurumi Junior College |
Principal Investigator |
斎藤 晃 鶴見大学短期大学部, 保育科, 助教授 (10225691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 裕 東邦大学, 医学部, 教授 (90197369)
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Keywords | 早産児 / 気質 / 情動調節機能 / 母子相互交渉 / 母性意識 / アタッチメント |
Research Abstract |
【目的】本研究の目的は早産児の行動特徴が生後1年間の母子相互交渉に与える影響を検討することにある。母子相互交渉に特に影響を与える児側の要因として啼泣しやすさとなだまりやすさ等の情動反応が挙げられる。この特徴はブラゼルトン尺度(NBAS)と心拍変動分析によって予測することが可能である。心拍変動のスペクトル成分中,低周波成分は交感神経と副交感神経に,高周波成分は副交感神経によって変調を受けていることは既知の事実である(Akselrodら,1981)。そこで,本報告では心拍変動にスペクトル分析を行い、NBASとの関連性を検討する。 【方法】被験児:早産児の母親81名にNBASを依頼し,27名(男児15名,女児12名)の協力を得た。平均出生体重は1737.4g(SD489.48),平均在胎日数は226.8日(SD21.5)であった。手続き:(1)NBAS:退院(在胎換算平均281.8日,SD23.47)後1週間以内に1名の認定評価者がNBASを行った。(2)心拍変動:NBAS施行日と同一日で,児の深睡眠時に心拍変動の測定を行った。 【結果と考察】NBAS値をLester(1984)に従って素点変換し,これを児の行動特徴とした。ただし,慣れ群は欠損値が多いので分析から除外した。心拍変動値に対してはスペクトル分析の一種である自己回帰要素波分析を行った。その結果,3種類の周波数成分が抽出され,各々の平均周波数は0.01Hz(PWR1),0.12Hz(PWR2),0.18Hz(PWR3)であった。総パワー中に占めるこれら3周波数成分のパワー比を独立変数に,NBAS値を従属変数として重回帰分析を行った。交感・副交感神経の両者によって変調される成分であるPWR1は「なだめ」(β=.939,p<.01>を有意に予測し,なだめやすさは単に副交感神経だけによるものではないことが示唆された。副交感神経の働きを意味するPWR2は「状態向上迅速性」(β=.-.124,p<.05)と「易刺激性」(β=-2.029,p<.01)を有意に予測した。これは副交感神経が優位な児は外部刺激が累積的に増大しても啼泣しづらいことを意味する。また,PWR3は「易刺激性」(β=1.292,p<.05)と「抱擁」(β=-.606,p<.05)を予測した。PWR3が高いほど,啼泣(ぐずりを含む)しやすく,かつ抱きづらいことを示している。これは交感神経が関与している可能性があり,高周波成分であっても単に副交感神経だけの作用とはいえないことを示している。
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