1997 Fiscal Year Annual Research Report
重度失語症者のための視覚的コミュニケーションシステムの開発
Project/Area Number |
09610158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉畑 博代 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 講師 (20280208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿森 淑子 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 教授 (00073023)
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Keywords | 重度失語症 / シンボル / 拡大・代替コミュニケーションシステム / コンピュータ |
Research Abstract |
音声言語の表出が困難な重度失語症者に対して、喚語能力改善のためのnaming訓練を実施しても、非常に限定された訓練効果しか得られないことが多い。そこで我々は音声言語のみにとらわれず、拡大・代替コミュニケーションシステムへのアプローチの観点から、以下の2つの実験的訓練を行い、慢性期重度失語症者の潜在的能力について明らかにした。1つには、重度失語症者の3名を対象とし、患者と聞き手によるコミュニケーション場面を設定して、簡単な絵やジェスチャーなどを獲得および使用させるための実験的訓練を行った結果、重度失語症者においても絵やジェスチャーなどの拡大・代替コミュニケーション手段の獲得および使用が可能であることが明らかとなった。2つめには、高齢の慢性期重度失語症者1名を対象に、コンピュータを利用して聴覚的理解能力を向上させるための訓練を実施した。コンピュータからの音声刺激に対して、該当する名詞または動詞絵カードを選択する課題である。モニター画面にはタッチパネルを取り付け、画面に直接触れて絵カードを選択したり、ボタンを操作できる設定にした。患者は実験者のコンピュータ操作の様子を観察したり、実験者からのわずかな援助を受けることにより、すぐにコンピュータ操作を獲得した。従って高齢の慢性期重度失語症者においても、認知能力に大幅な低下が見られない場合には、簡単なコンピュータ操作の習得は可能であると考えられた。 今後は、拡大・代替コミュニケーションシステムの1つとして利用可能なコンピュータによる視覚的コミュニケーションシステムを試作して、重度失語症者に適用し患者のコミュニケーション能力の評価を行いながら、システムの改良を進める。その上で、患者と聞き手とのコミュニケーション場面において、開発した視覚的コミュニケーションシステムの有効性を測定する。
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