1999 Fiscal Year Annual Research Report
学校不適応児支援のための教師に対する援助に関する臨床社会心理学的基盤研究
Project/Area Number |
09610159
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Research Institution | Koran Women's Junior College |
Principal Investigator |
遠矢 幸子 香蘭女子短期大学, 秘書科, 助教授 (60195443)
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Keywords | 不適応児 / 学級集団構造 / 学級風土 / 縦断的研究 / 教師支援 / メンタル・ヘルス |
Research Abstract |
本研究の目的は、現場の教師の学級経営を援助するために、学級風土および学級集団構造の理解と不適応児への対応について臨床・社会心理学的視点から検討することである。特に、例えば児童の不適応の問題もその子の日常との対比で取り組む必要があると考えるため、授業時間も休み時間も丸ごと含んだ学級への関与的観察を継続的に行うことで、当該学級に即した理解と対応に努める。本年度は、一昨年度から引き続きA小学校5年生1学級を主な調査対象として、1年間綿密に学級集団の動きを観察・記録した。運動会等の主要行事をはじめ、普段の学級観察および担任等との面談のために月に3,4回程度訪問した。この間行った調査は(1)ソシオメトリック・テスト指名法2回、(2)学級風土調査3回、(3)対人不安傾向等の個人特性調査1回、(4)担任教師の指導態度調査2回、(5)メンタルヘルス・チェックリスト1回、(6)ソシオメトリック・テスト評定法1回である。結果は多岐に渡るためその一部を記する。まず学級集団構造に関しては、高学年になって児竜の評価基準が変化し、特に女子の構造変動が著しかった。また、入学以来ほぼ同じ成員で推移した学級であるが、その核が未だ未熟で、各々の自己主張が表面化するにつれて学級としての纏まりの弱さが目立ってきた。さらに思春期にさしかかり、対人的ストレスを強く感じている女子が増加し、以前とは異質の異性間のトラブルが多発するようになった。学級風土に関しては、特に女子は5年生の当初担任の交代に伴って一時期上昇したものの、その後急速な下降傾向にあった。男子の不適応児1名はLDが疑われるが、適切な介入時期と方法について検討中である。この学級は毎年担任が交代してきたが、担任の児童への関わり以前に授業への取り組み姿勢の違いが個々の児童に影響し、全体の集団構造にも波及する様子が注目された。来年度は担任一児童関係および児童の価値観の変化に応じた児童-児童関係をも視野に入れて、さらなる学級への援助について検討する。
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