1997 Fiscal Year Annual Research Report
都市の空間的分化と市民生活との相互作用過程、及び生活ニーズの生成に関する調査研究
Project/Area Number |
09610170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
野呂 芳明 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60218378)
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Keywords | 社会階層 / 都市 / 社会的不平等 / 社会地区分析 / 社会調査 |
Research Abstract |
本研究は,都市の社会的空間変容のプロセスについて,それを目的としあるいはそれに媒介されながら進行する関連諸主体(住民や行政,企業等)の相互作用過程との関連に着目して検討することを目的としている。この目的を達成するために,本研究においては 関連する初領域における先行研究の整理・検討を踏まえたうえで,既存の統計データと独自の調査データを有機的に組み合わせた実証的調査研究を志向している。 そこで,初年度である本年は都内のいくつかの地域について,社会的分化の実態を調べ,具体的な生活問題等を見出すための統計データの収集と整理をおこなった。具体的には,都心から比較的近郊に位置し多様な階層的特徴をもった人びとが集住する住宅地区である東京都世田谷区および練馬区を対象地区として選定し,とりわけ世田谷区について公開されている国勢調査,工業統計,商業統計,地価(地価公示価格,基準地価格,等)などのデータを地区別(町丁目単位)に収集し,データベース化した。また区役所などでヒアリングをおこない,関連する資料を収集した。 以上のようにして収集した150ほどの客観的データ群をもとに,区内の各町丁目の性格を明らかにし分類するために,多変量のデータ解析を試みた。具体的には因子分析およびクラスター分析を何通りか実施した。その結果,世田谷区の場合には9パターンほどの地区類型を得た。さらに地理情報解析システムを利用してこの各パターンを地図上にプロットするところまで進めることができた。今後はこのデータ分析結果の社会学的な解釈が課題であり,よりインテンシブな市民アンケート調査を実施しこれに組み合わせることで研究課題についてのさらに立ち入った分析を進める予定である。
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