1998 Fiscal Year Annual Research Report
職場におけるジェンダー関係の形成メカニズム-職務のジェンダー間分離を中心に-
Project/Area Number |
09610172
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
木本 喜美子 一橋大学, 社会学部, 教授 (50127651)
|
Keywords | 労働過程 / ジェンダー / スーパーマーケット / 性別職務分離 |
Research Abstract |
今年度はスパーマーケットのうち、調査対象企業としてふさわしいA社を選び、集中的に人事部および商品部等の聞き取り調査を実施し、全体的な人事方針および店舗のオペレーションシステムの把握をおこなった。そのうえでつぎの2種類の調査を実施した。 その第一は関東圏の店舗に働く全階層のアンケート調査である。これは、男性正社員、女性正社員およびパートタイマーという立場のちがいが、仕事意識にどう反映しているのかを探るためのアンケート調査である。各層のちがいを数量的に比較検討するために、A社の関東圏にある店舗全体にアンケート用紙を配布し、合計およそ500票の調査票を回収した。現在これを分析しているところである。 第二は、店長クラスについての詳細なインタヴユー調査である。これは、人事部からの聞き取りを通じて明らかになった興味深い事実を、より明らかにするために設定した。A社では女性の勤続年数は伸びてきており、店長よりも下位の職位まで進んできた女性が増大しつつある。しかしながら女性店長は、全体のわずか2%しか存在しない。このことは店長職に男性というジェンダー属性が埋め込まれており、人材育成のジェンダー差が介在していることを推測させるものである。したがって、数少ない女性店長は全員、そして男性店長はいくつかのタイプに分けて、入社以来の部署の転換や店長としての日常について詳しい聞き取りを行い、両者の差異を検討するための素材を得た。 以上のふたつの調査結果の分析を深めることによって、3年次目の調査設計を描くことができる段階に達しつつある。来年度は、ひとつないしふたつの店舗を重点的に位置づけ全階層の働き方および意識を具体的に聞き取ることによって、店長職に埋め込まれているジェンダーを解明したい。
|