1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610175
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
佐古井 貞行 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40205828)
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Keywords | 現代社会 / 産業社会 / 消費社会 / 生活社会 / 波照間島 / 消費構造 / 島外生活経験者 / 島外生活非経験者 |
Research Abstract |
現代社会は産業社会であるが、いわゆる後期産業社会である。後期産業社会の特徴は消費社会である。しかしいま、産業社会の終えんが言われるようになり産業社会後の社会が模索されている。そのためには、今日の消費社会を乗り越えた社会は何かという研究が求められる。その課題に取り組んだのが本研究で、消費社会の後の社会を生活社会と位置づけ、生活社会は脱消費社会として出現するものと考えて、消費社会の最周辺にある社会に生活社会の手がかりを掴もうとした。 消費社会の最周辺に位置する社会として求めたのが日本列島最南端の島、沖縄県八重山郡竹富町波照間島である。つまり、本研究は波照間島を生活社会の祖型とみなして、祖型の転換によって新しい生活社会の形成要因を発見しようとした。そしてその具体的な調査視点は波照間島の消費構造とその消費構造の形成要因としての住民連帯の具体相を明らかにすることである。このことを通して、波照間島住民の生活満足度は消費の水準と無関係であることを証明しようとした。 そのために波照間島住民を島外生活経験者と非経験者の二つのグループに分け二つのグループに生活満足度と消費の関係をみた。調査の方法等については前年報告でふれたので、ここでは結果についての紹介をする。 島外経験ありの人は、都会派でものの所有は多く、消費に対する欲望も大きく島の仕事は不満足で、したがって生活にも不満足だった。これに対し、島外経験なしの人は、島の習わし重視の因習派で、ものの所有は必ずしも多くなく、消費に対する欲望もそれほどではないが、仕事に対しては満足しており、それゆえに生活にも満足していた。もの社会の体験の差がここに現れている。
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