1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三上 剛史 神戸大学, 国際文化部, 助教授 (80157453)
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Keywords | 情報社会 / 社会的性格 / アイデンティティ / ポストモダン |
Research Abstract |
近代社会における社会的性格の変遷、特に第二次大戦後の自己論・アイデンティティ論ならびに、大衆社会論に関する内外の文献を購入、もしくは各地の大学・研究機関におもむいて、検索・複写し、D・リ-スマン以降の他人志向的性格づけが現段階でどの程度妥当性を持つものであるかを文献的に検証した。そのさい、E・ゴフマンの演技論的アプローチやシンボリック・インタラクショニズムの業績を参照することも合わせて行った。 これらの諸点を踏まえたうえで、申請者が『ポスト近代の社会学』で主張した、「歴史と主体」から「時間と自己」へというテ-ゼを発展させながら、現代の情報社会の人間はその社会的性格とパーソナリティの点でどのような特殊な状況下に置かれ、また近代的な主体性概念は、どのような意味で行き詰まっているかを検討した。特に、その社会学的形態であるT・パーソンズの主意主義的行為論とE・H・エリクソンの自己同一性概念が、いかなる情勢の中でその妥当性を失いつつあるかを考察した。 さらにこれらの成果をより一般化する方向で理論的に発展させ、ポスト・モダン的社会理論の進展状況を考慮に入れつつ、S・ラッシュやA・ギデンズ、U・ベックらの新しい理論にも当たってこれを摂取した。このような作業を経て、現代人の社会的性格とアイデンティティに関して、戦後の社会的性格論の延長上で、現代情報社会特有のどのような新しい理論構築が可能であるかを模策中である。
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