1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610184
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小谷 典子 山口大学, 人文学部, 教授 (60117083)
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Keywords | 産業都市 / 企業の社会的貢献 / 企業市民性 / 社思・社訓 / 企業文化 / 環境創造 / 企業フィランソロピー / メセナ |
Research Abstract |
1.宇部市における企業の社会的貢献活動の分析 宇部市は、地場企業宇部興産株式会社によって発展した産業都市である。宇部興産は1997年創立100周年を迎えた。100年の歴史のなかで、地位社会に貢献するという企業文化がいかにして形成されたか、その後の企業の発展過程の中で経営理念はとのように変化したかを、収集した文献に基づいて、企業経営者の生活史に視点を据えて分析した。 宇部興産の前身の沖ノ山炭鉱の創設者渡辺祐策の「共存同栄」という経営理念は、藩政期の宇部の精神的風土と、「宇部共同義会」「宇部達聰会」という、宇部の政治経済的組織に依拠して形成されたといえる。渡辺の経営理念は2代目社長の俵田明、3代目の中安閑一によって受け継がれながら、企業の国際的な発展とともに、今日、経営理念は「グローバルな共生」へと変化してきていることを明らかにした。 2.防府市における「愛情防府運動」推進企業調査 愛情防府運動は 防府市に立地する企業35社が連携して地域社会に貢献しようとして開始した運動である。その最大の活動「愛情防府フリーマーケット」は、13万人の人出のある西日本一のフリーマーケットに成長し、運動推進企業も165社になった。165社に対する社会貢献活動と愛情防府運動への関与に関するアンケート調査を郵送法で実施し、98社より回答が得られた。そのうち25社に対して、さらに詳細な聴取調査をおこなった。 分析の結果、半数が運動当初(1993)よりの参加社で、フリーマーケットには62.2%が毎回参加しており、その他活動は約3割か毎回参加であった。運動継続のための市民参加やマンネリ化克服の課題があるが、会社独自の地域貢献活動も29.6%でおこなわれており、企業が連携しておこなう運動が企業に社会貫献の姿勢を生み出していることが示された。
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