1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610186
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田口 宏昭 熊本大学, 文学部, 教授 (20040503)
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Keywords | 参照システム / 医療行動 / 情報回路 / 情報収集 |
Research Abstract |
本研究課題名のもとに、2年目の研究に入った本年度は主に素人参照システムの調査研究を行なった。 調査研究は、マクロな視点から医薬分業システムの形成に向かおうとする今日の医療システムの変化をとらえるための文献・資料の収集と分析のほかに、ミクロな視点から実際の患者経験者(重篤の病気の患者の場合はその家族・親族)の医療行動を理解するためのインタビュー調査を行なった。(なお、当初予定していたアンケート調査は準備の都合上実施に至らなかった。) 上記の調査の目的は、患者(ないし家族・親族)が病気の最初の兆しをどのように解釈し、それに反応し医療的手段を選択していくかを明らかにすること、またどのような情報を誰から(どこから)入手し、それが患者(家族)の選択行動の意思決定にどのように反映されていくのかを明らかにすることであった。これによって、患者の医療における意思決定行動において無視できない意義をもつと思われる情報収集と情報回路、患者自身による情報解釈とその準拠枠組みを明らかにして、受療行動のモデルを構築していくことが可能となる。 インタビュー調査は非指示的面接法にもとづいて非構造化面接を実施した。面接に先だって概ね面接する項目(病気の兆候の自覚、その解釈、情報収集、初期行動、専門家選択行動、専門家との交渉、情報収集活動等)を設定しておき、印刷した項目リストを回答者に予め渡しておいて聴き取りを行なった。対象とした病気経験者の病気の種類は悪性腫瘍、糖尿病、ひどい骨折、心疾患等、多様である。 この調査は継続中である。限られた対象者に対するものではあるが、これまでの調査から、異常の兆候の知覚及び解釈は患者自身の以前の病気経験または患者の家族に生じた以前の病気を観察した経験に拠ることがあること、患者は様々な回路から集めた一見脈絡のない情報を推論によって結び付けながら素人なりに暫定的な「診断」を下すこと等、貴重な知見が得られた。
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[Publications] 田口 宏昭: "地域社会における医薬分業と患者に対する情報開示(下)" 文学部論叢. 第64号. 51-66 (1999)
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[Publications] 中 久郎: "社会学論集 持続と変容" ナカニシヤ出版, 371 (1999)