1998 Fiscal Year Annual Research Report
大型店舗における万引きに対する社会的反作用についての実証的研究(その2)
Project/Area Number |
09610190
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
高原 正興 京都府立大学, 福祉社会学部, 教授 (30154892)
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Keywords | 少年非行の統計化プロセス / 処遇の多様性 / 簡易送致と署限りの措置 / 反作用としてのラベリング / 非行少年の福祉的処遇 |
Research Abstract |
平成元年度の科学研究費補助金による本研究から9年が経過し、その後の少年非行統計は「万引き」も含めて漸減傾向から漸増傾向へ転じて、平成9〜10年度は「戦後第四のピーク」を形成しつつあると言われ、万引きも統計上再び増加している。この統計化プロセスと「大型店舗における万引き」との関係を解明する上で、本年度の調査研究等で明らかになった事実は次の通りであった。 1, これまでの調査対象地域(東京23区・京都市・岡山市・鹿児島市)における追跡調査では、百貨店で少年の万引きの激減傾向が止まり、中高年と共に増加しつつあること、大手スーパーで系列警備会社による画一的処遇が進んで警察への通報率が高まっていること、新規調査対象地域(札幌市・那覇市)では特に専門店への「場の移動」が進んでいることである。 2, 当該地域の警察機関への聞き取り調査については、昨年度に作成済の「調査票」にもとづいた調査を行なった結果、引き続き警視庁の「簡易送致事件」判断の基準に準じた処遇が行なわれているが、昨今の少年非行報道が「署限りの措置」を減少させ、非行統計の増加に影響を与えていると見られる事実も見受けられた。 3, 本年度で調査全体の概要を集約する計画であったが、平成10年までの万引きの実態について、大型店舗と警察機関に対する聞き取り調査が全対象地域で終了しておらず、店舗現場と統制機関との処遇結果の比較も含めて、平成11年度の前半に行ないたい。 4, 今後の研究の展開に関する計画としては、平成11年度予定の補助金配分により、(1)平成10年までの大型店舗の実態調査の総仕上げを行なう、(2)同じく当該地域の警察に対する聞き取り調査を仕上げて、「措置・送致」の実態と傾向をまとめる、(3)平成11年度に調査報告書(冊子)を作成して、論文化を検討する。
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