1998 Fiscal Year Annual Research Report
若者の個人主義化(私化)とそれがもたらす制度的諸葛藤に関する比較研究
Project/Area Number |
09610194
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Research Institution | Kitakyushu University |
Principal Investigator |
須藤 慶 北九州大学, 文学部, 教授 (30275440)
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Keywords | 学校 / 高校生 / 社会的役割 / コンフリクト / 統制 |
Research Abstract |
私は個人主義化を、制度化された役割に対する態度としてとらえ、首都東京の高校生と地方都市北九州の高校生とを比較し、さらにまたそれぞれの都市の中での学校の「偏差値レヴェル」で比較し、主に学校規範に対する態度をとおして、それぞれの高校生の行動と意識の特徴を分析し、日本の高校生の個人主義化の諸傾向を検討した。 個人主義化の諸傾向を明らかにするために、東京都立高校4校、北九州市内公立高校4校において、アンケ一ト形式の意識調査を行った。簡単な集計の結果を総合すると、学校内の規範、社会的な規範等、制度化された役割に対する態度において、学校の「偏差値レヴェル」が高ければ高いほど、コミットメント度が高く、その逆の場合は、制度化された役割にあまり統合されていないという傾向が、東京、北九州両都市の高校生に対して見られる。東京と北九州との比較で言えば、北九州の高校生の方が東京の高校生よりも、若干であるが、制度化された役割に統合されていると言えるが、大きく異なることはない。情報に接する機会、街に出る機会、学校へのコミットメント度においてもあまり異なっているとは言えない。しかしながら、学校の規範に関する態度に関しては、北九州の高校生は東京の高校生に比べて離反の傾向が見られる(具体的な教師に対して離反する傾向は見られない)。これは、北九州の高校生の生活態度、意識共、東京の高校生とはあまり変わらないにもかかわらず、学校の生徒に対するコミットメント要求度、統制度が高いからであると考えられる。すなわち、統制度の高い北九州の高校においては、具体的な教師に対してではなく、漠然としたコンフリクトが潜在していると考えられる。
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