1999 Fiscal Year Annual Research Report
日ア国際児をもつ在日アジア人母子の「スティグマ感」に関する実証的研究
Project/Area Number |
09610201
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
松本 佑子 聖徳大学, 人文学部, 教授 (00150839)
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Keywords | 偏見 / 在日外国人 / 国際結婚 / 国際児 |
Research Abstract |
本研究の目的は日本男性との子どもをもつ在日アジア人母子の生活実態と母親の意識を明らかにし、国際児とその母親に関するスティグマならびに母と子の社会的不利や諸問題を実証的に究明することである。平成11年度は平成10年度の研究をふまえ、東京都、埼玉県、栃木県、千葉県、群馬県および長野県に在住するアジア人女性への質問紙調査及び聞き取り調査を中心に実施し、彼女等の生活実態ならびに生活意識の把握を行った。調査対象はフィリッピン女性を中心に行った。質問紙調査の内容は初来日時の目的、就労の有無、就労の満足感、日常生活の問題・不安、日本社会ならびに日本人に関する意識、子どもの養育、夫婦関係、等である。聞き取り調査では質問紙調査に加えて来日した理由・経緯、夫と結婚した経緯、結婚生活ならびに家族関係、養育問題、将来の生活設計、等を聞き、在日アジア女性の生活意識や生活問題の把握・分析を試みる。 以上の調査から、彼女らの大多数は就労のため、すなわち経済的理由により来日し、職場(サービス業)に客として来ていた日本男性と結婚している。あるいは仲介業者をとおして結婚している。どちらのケースも離婚の危機あるいは離婚に直面しているのであるが、前者のケースの多くには夫の暴力問題が存在し、後者のケースには夫の父母・きょうだいとの問題を抱えているのである。 子どもが日本国籍を取得している場合は日本滞在に問題をもたないが、言葉の問題や子どもがまだ幼児であるということから定職に就くことが難しく、生活保護世帯であるケースも多い。いずれにしろ仕事は3Kであり、日本人就労者より低賃金であるという差別を受けていることが見いだされた。
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