2000 Fiscal Year Annual Research Report
日ア国際児をもつ在日アジア人母子の「スティグマ感」に関する実証的研究
Project/Area Number |
09610201
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
松本 佑子 聖徳大学, 人文学部, 教授 (00150839)
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Keywords | 在日外国人 / 在日アジア系女性 / 国際児 / 国際結婚 / 偏見 / 外国人花嫁 / 外国人労働者 / スティグマ |
Research Abstract |
本研究の目的は日本男性との子どもをもつ在日アジア系母子の生活実態と母親の生活意識を明らかにし、国際児とその母親に関するスティグマならびに母と子の社会的不利や諸問題を実証的に究明することである。フィリッピン女性を中心に質問紙調査及び聞き取り調査を行った。質問紙調査の内容は初来日時の目的、就労の有無、就労の満足感、日常生活の問題・不安、日本社会ならびに日本人に関する意識、子どもの養育、夫婦関係等である。聞き取り調査では質問紙調査に加えて、来日した理由・経緯、夫と結婚した経緯、結婚生活ならびに家族関係、養育問題、将来の生活設計等を聞き、在日アジア系女性の生活意識や生活問題の把握・分析を試みた。 彼女らの大多数は就労のため、即ち経済的理由により来日し、職場(サービス産業)に客として来ていた日本男性と結婚している。あるいは仲介業者を通して結婚している。前者のケースの多くには夫の暴力問題が存在し、後者のケースには夫の父母・きょうだいとの問題を抱えているのである。その背景には(1)来日・結婚の目的に自国の家族への経済的援助がある、(2)夫が一子のみを望み中絶するケースが多い、(3)夫婦の共有時間・接触度が少ない、(4)結婚前に夫・妻お互いのことをよく知らずに結婚している、(5)日本社会への適応には言葉の問題と文化・価値観の理解が密接な関係を持つ。このことから日本人配偶者にとって深刻な適応問題が存在する、等から女性に幸福感をもつことが難しく離婚の危機あるいは離婚に直面している。母子家族にあってはビザの問題を含めて就職、住宅問題等での保証人の問題が大きい。子どもの養育に関しては大多数の母親が日本での生活を考えているが、"いじめ"の問題を危惧していることが把握された。
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Research Products
(1 results)