1999 Fiscal Year Annual Research Report
都市における地域シンボル性の付与とその変化についての実証的研究
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09610212
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
森 幸雄 創価大学, 文学部, 助教授 (00191007)
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Keywords | 都市 / 地域シンボル / 城下町 / 護国神社 |
Research Abstract |
4年間の研究の3年目にあたる本年度は、東京・横浜・水戸・宇都宮・前橋・仙台・弘前・秋田・盛岡・函館など、東日本の都市を中心に実地調査をおこなうとともに、文献・資料の収集・整理および検討をおこなった。今年度の研究で興味深かったものは以下のようなものである。 今回実地調査した都市は、江戸時代から城下町として歴史をもつものが多く、明治維新を境にして都市構造に大きな変化がおきている。そうした変化では、伝統的な地域性が地域の変化に大きな影響を与えているものがある一方で、伝統的な地域構造がまったく影響を与えず、伝統的な地域性からは想定できないような地域が形成されている場合もある。そうした違いを生む要因については検討が必要である。 社会的価値体系の変化により都市の地域構造が変化するなかで、各都市の中心部にある施設や記念物に付与されている意味の変化も変化している。戦前の価値体系では重要な意味をもちながら、戦後の価値体系では重要性を失った施設や記念物、あるいは地名などでも、現在までそれが保持されているものも少なくなく、そうしたありかたについての考察が必要である。こうしたもののなかで、都市間比較の事例として注目したいのは護国神社である。明治期の創建された招魂社は、社会的価値体系の変化のなかで、所在地や建物の構造の変化させ、護国神社として整備されていった。さらに、それらは戦後も続いており、そうした変遷を都市構造の変化と関連させて考えていくことは、地域イメージの考察に有益なデータを提供すると思われる。
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