1998 Fiscal Year Annual Research Report
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09610213
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
黒田 美代子 駒沢女子大学, 人文学部, 助教授 (80277897)
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Keywords | エジプト経済 / シリア経済 / 伝統経済 / イスラーム商法 / 地域開発 / 開放政策 |
Research Abstract |
3年にわたる研究の大枠としては、ほとんど研究のメスが入れられていない(1)伝統経済そのものの解明の深化、(2)その現状の確認、(3)フォーマル・セクターとの関連、(4)それが経済発展に占める位置と意義の確認という問題が設定されている。 初年度においてはその中でも、イスラーム世界における経済制度の特徴をムフタシブの制度に求め、それを西欧中世の場合と比較して両者の基本的な相違を求めることを中心とした研究を行った。第2年度にあたる本年度においては、W.アッズハイリーの手になる「イスラームの商法諸規定」というアラビア語の著作の邦訳に中心を置き、まず同書の素訳を一応完成させた。この種の著作の紹介は世界的にも前例がなく、伝統経済研究にとって基礎的な本書の翻訳は、自分自身の研究にとり有益なばかりでなく、今後のこの分野の研究にとって重要な道標となるはずである。 この翻訳と同時に、シリア、エジプトの経済開発の現状を、現地調査ならびに文献資料の分析によって行った。その成果の一部は「地域開発の現状と問題点-エジプト経済開放政策のその後」として発表した。これまで刊行されたのはエジプトの部分であるが、シリアの部分もすでに調査済みである。 最終年度に完成させる伝統経済と、現代の経済的問題の相互関連を求めるための作業である、二つの柱の整備はこの第2年度の研究により完了したとみなしうるであろう。第3年度には、翻訳の完了によって伝統経済の現代的意義が個人的な研究成果としてばかりではなく、一般に手の届くものとなるよう努力する積りである。
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