1997 Fiscal Year Annual Research Report
「情報化」の進展に伴う家族の「個別化」と新しい関係の契機に関する実証研究
Project/Area Number |
09610220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kure University |
Principal Investigator |
礒田 朋子 呉大学, 社会情報学部, 助教授 (90193391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 道代 大手前女子短期大学, 助教授 (00219023)
清水 新二 国立精神, 神経センター精神保健研究所・システム開発室, 室長 (40113493)
香月 保彦 呉大学, 社会情報学部, 助教授 (70279090)
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Keywords | 私事化 / 個別化 / 情報化 / real nameでの関係 / nicknameでの関係 / anonymousでの関係 |
Research Abstract |
1 主として研究代表者、研究分担者が行ったこれまでの家族の「私事化」「個別化」に関する研究を振り返るとともに、関連分野の先行研究のレビューを行った。 これらのレビューを通して、以下の2点を確認した。 (1)「私事化」「個別化」の概念の再整理を行い、再調査へ向けて、これまでの調査、とりわけ概念の指標化にはいくつかの反省点があること。 (2)本研究の問題意識に照らして、「私事化」「個別化」傾向と、家族外に親密な関係をもちうる可能性との関連が重要であること。 2 情報化の現状の理解に向けて、Web上の掲示板などを通して、いくつかの事例にアプローチした。電子メールやWebを用いてのコミュニケーションの普及、Webの応用の広がり等に関して、情報を収集した。 3 調査方法の検討のため、試験的に、コンピュータ・ネット上で調査を行い、その結果と、質問紙による調査結果の比較を通してサンプルバイアスからくると思われる差について分析した。その結果、ネット上で得たサンプルと、質問紙の配布回収を通して得たサンプルには差が認められた。Webをもちいて調査する際には、このサンプル差に留意しなければならない点を確認した。 4 1.で取り上げた家族外の親密な関係を、real nameでの関係、nicknameでの関係、anonymousでの関係という概念から捉えるという試みに関して、その意味と可能性を検討した。2.でみられたサンプル差は、同時に、ネット上に特有の人格や人間関係の存在の可能性を示しており、分析概念としての有効性を示唆するものである。
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