1997 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける高校職業教育と高等教育の接続関係に関する実証的研究
Project/Area Number |
09610232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
夏目 達也 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 助教授 (10281859)
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Keywords | 高校 / 高等教育 / 職業教育 / 接続関係 / テクニシャン養成 |
Research Abstract |
本研究は、フランスにおける高校職業教育と高等教育の接続関係をテーマとしており、今年度は特に高等教育の側に焦点を当て、職業高校出身者の受け入れ状況等について研究した。その結果、以下のような知見を得た。 1.テクニシャン養成は、1980年代初めまで、高校職業教育と高等教育の両方で行われてきた。しかし、1980年代半ば以降の高等教育進学者の急増の中で、高校修了後直ちに就職をする生徒が減少し、高校職業教育におけるテクニシャン養成の機能は事実上失われている。これに伴い、近年では、テクニシャン養成の主体は高等教育機関に移っており、特に技術短期大学部(IUT)と、上級テクニシャン養成課程(STS)が中心的な役割を担うようになっている。 2.IUTとSTSは、ともに2年制の短期高等教育機関であり、上級テクニシャンの養成を目的とし、教育課程、専攻領域、修了後の学生の進路等共通する点が少なくない。STSは主要な高校に付設され、在学者数23.6万人、学科数145種類。IUTは国立大学に付設され、在籍者数9.6万人、学科数23種類である。(1995年)。 3.IUTとSTSは、職業高校生の進学機関として設置されたが、学生総数に占める職業高校生の比率はIUTが3割、STSが7割と、職業高校生の受け入れ状況は不十分である。これは、両機関とも入学者選抜を実施していること、特にIUTは一般に学力が高い普通高校生の間で進学希望者が多いこと等が理由である。職業高校生は、教育課程の関係で普通教育の学力が相対的に低く、入学が困難になっている。 4.IUTやSTSに入学できない職業高校生の多くは、入学者選抜を実施しない大学に入学するが、教育課程の接続関係が不十分なため、学業不振に陥り、留年や退学をする者も少なくない等の問題がある。
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[Publications] 夏目達也: "フランスの高等教育における職業教育改革の現状" 産業教育学研究. 28巻1号. 32-33 (1998)
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[Publications] 日本労働研究機構: "欧米における学校から職業への移行期の指導・援助" 日本労働研究機構, 193 (1997)