1997 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアのイスラーム復興運動が教育制度改革に及ぼす影響に関する比較研究
Project/Area Number |
09610250
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西野 節男 名古屋大学, 教育学部, 助教授 (10172678)
|
Keywords | マレーシア / 教育改革 / イスラーム化 / 宗教学校 |
Research Abstract |
マレーシア・イスラーム国際大学のロスナニ教授の助言を得て,マラヤ大学イスラーム・アカデミー,マレーシア国民大学イスラーム研究学部等を訪問し,専門スタッフから東南アジア,特にマレーシアのイスラーム運動と教育改革に関する研究のレビュ(1997年10月)を受けた。国内ではアジア経済研究所,東京大学東洋文化所などで東南アジアのイスラームに関係する政治・社会,宗教・教育・文化領域の文献に関する資料調査を行った。国内においては最近の教育改革とイスラーム運動に関する文献資料は十分ではなく,現地で収集する必要が感じられる。今回はレビュの時に入手した資料の分析から,以下のような動向が把握できた。即ち,マレーシアではブミプトラ(マレー系およびその他の先住民族)優遇政策のもとに,ムスリム(マレー系)の社会進出が進み,開発・近代化のなかで社会全般にイスラーム・アイデンティティが強まっている。それに対応して政府側でもイスラームの制度化を推し進めてきており,教育の領域も例外ではなく,教育文化省ではイスラーム教育課がイスラーム教育部に格上げされたり,首相官房イスラーム関係局では州間での宗教中等学校カリキュラムの標準化の試行が進みつつある。さらに完全寄宿制の宗教中学校が3校設置されており,一般の国民宗教中等学校も増設されているがニーズに応えきれていない。そのために,州立の宗教中等学校やクアラルンプール周辺では私立の宗教学校も新たに設置されている。初等段階もKAFAクラスと呼ばれる基礎的なイスラーム学習クラスの設置が進められ,普通の小学校との二重就学(午前は小学校,午後はKAFAというように)も一般的になりつつある。インドネシアでも同様にイスラーム・アイデンティティの強化がみられるが,教育の制度改革にそれがどのように反映されているのかを把握して,マレーシア他の事例と比較分析する必要がある。
|
Research Products
(1 results)