1997 Fiscal Year Annual Research Report
エスニック集団への教育保障に関する基礎研究 -グローバルな貧困問題との関連分析-
Project/Area Number |
09610253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
山根 祥雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50089893)
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Keywords | エスニック集団 / 多文化教育 / 貧困問題 / 都市問題 / アイデンティティ / 悪循環 / 学力 / 学校不適応 |
Research Abstract |
エスニック少数者集団の教育現実を把握するための参考に足る有効な実態調査例は少なく、しかも少数者集団出身者の実態に即応した現状や課題を確認するために、個人的な面接をも含めた綿密な調査が不可欠である。現在、少数者集団出身者にとっては、言語、信仰、価値、教育経験、学歴、資格など、社会的生存の享受とアイデンティティの獲得に関わる教育条件は極めて厳しい。労働や生活やコミュニティなどとの関連から都市問題と重複しており、貧困という低位性の悪循環の結果からの脱却は相当な困難性に直面している。そのために、先進諸国では多文化体制が模索されているが、国及び地方公共団体の行政サイドからの積極措置や保障計画、並びに正しい情報に基づく市民レベルの教育機会を通じた日常的な理解と交流が前提であるという認識が一般的になっている。一方、学校教育ではいわゆる多文化教育が取り組まれており、就学前後、通・就学期、進学・就職時、卒業後など、出身者及びその他の集団出身者に対する適切な教育的取り組みと、他文化を促進する学校条件の整備・拡充が要望されている。殊に、学校適応、学習達成、進学などには、現在でも大きな困難性があり、学力問題がネックとなっている。また、諸集団間における交流や集団相互におけるアイデンティティの確保や出身者の主体形成の道筋は多様さの動向が顕著に認められた。そこで、共存の過程における多様な自立の方向性とその教育的手だてが教育課題として模索されねばならない。
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Research Products
(1 results)