Research Abstract |
平成11年度は,つぎのような研究を行い,知見を得た。今年度は研究の最終年であり,この研究成果と参考となる資料を印刷物にまとめる予定である。 (1)フランスは,進路指導を制度化しており,さらに生徒の適正・能力等に応じた進路選択と指導を模索してきた。進路指導期と呼ばれてきた前期中等教育(コレージュの4年間)は,そのためのものであり,後期中等教育(リセを中心とする3〜2年間)に進学する際に進路を決定するが,その後,後期中等教育においても転科を認めるところに特徴がある。 その際に,転科を容易にし,転科による支障をすくなくするために特別の学級が作られた。これは,「橋渡し学級」(classes passerelles),「適応学級」(classes d'adaptation)と呼ばれており,転科に大きな役割を果たした。これについて,過去の制度となっている部分もあるが考察を加えた。 (2)中等教育の修了証書と同時に大学入学資格となるバカロレアは,後期中等教育の大衆化と専門化による細分化が進み,文科,理科,社会・経済,技術,職業系としてA,B,C,D,D',E,F,G,G',H,Bproのように約10種類に分かれ,それに向かったカリキュラムが組まれてきた。この場合におけるコース転科は上述の転科を可能にする学級を通って行われた。しかし,このような専門化されたコースの意味について論議され,1995年からは,その内部で細分化はなされているものの普通バカロレア,技術バカロレア,職業バカロレアの三つに再編した。 この再編によって,グループ内での転科が比較的容易になったといえる。
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