1998 Fiscal Year Annual Research Report
市町村の生涯学習推進体制における社会教育職員の専門職性についての実証的研究
Project/Area Number |
09610268
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
南里 悦史 九州大学, 人間環境学研究科, 教授 (20218077)
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Keywords | 生涯学習 / 社会教育職員の専門職性 / 生涯学習推進体制 / 社会教育主事 |
Research Abstract |
本研究は、生涯学習が提唱されて10年たった市町村の生涯学習の推進体制や社会教育の組織体制の実態をとらえ、とくに社会教育主事講習を担当している大学の立場から社会教育主事の専門職性の職務内容を究明する実証的研究である。特に、社会教育主事講習を受け持っている九州の5県の市町村教育委員会334組織を対象に、質問紙調査と個別聞き取り調査を行った。質問紙の回収は269組織からあり、回収率は80.5%であった。自治体別では市が51(全体で58、以下同じ)、町が178(224)、村が40(58)で、内容は(1)生涯学習の整備状況、(2)教育委員会における社会教育職員の職務、(3)生涯学習計画の実施段階における組織的職務分掌の変化、(4)施設や団体と社会教育職員の関係や職務対応の変化、等について明らかにした。 研究の成果としては、(1)生涯学習の推進体制の整備は全体で49%が改組されておらず、市の36.5%に対し、町が48.6%、村が67.5%が未設置である。協議会は現在策定中を入れて61.8%がないと少ない。(2)社会教育委員の職務内容では、まず社会教育主事の辞令交付は約7割が受けて資格を持っているが、職務内容は一般社会教育職員や係長、課長など行政職の担当が多くなってきており、生涯学習の係担当は1/3が別途おかれている。(3)生涯学習計画や事業の策定・実施では、他行政組織との連携強化が目立っており、特に、福祉、健康・保健、学校との関係が求められている。しかし、事業としては、国・県の事業の1/4が減少し、単独事業などでは1/5が増加している。(4)施設や団体に対する社会教育職員の職務では、社会教育施設の活用、社会教育関係団体に対する事業への動員など、これまでと変化はないが、他団体・他行政組織との情報交換・連絡調整が増加し、また、生涯学習に関する行政職員の研修が増加し、同時に団体研修も若干増加傾向にある。 生涯学習推進体制は市町村段階で急速な変化として捉えることはできないが、一方で地方行革による専門職性の位置の変化が若干目立つ調査結果となった。
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